【2026年6月1週目】性病のトピックス
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梅毒2026|全国3,502例。
通年-7.7%
JIHS(国立健康危機管理研究機構)の最新集計によると、2026年の梅毒報告数は4月26日時点で全国3,502例となっています。また、2025年の年間報告数は13,530例で、2024年の14,663例から7.7%減少し、2年連続で減少傾向が確認されました。
さらに、2026年第1四半期(4月24日時点)の報告数は前年同期比で約3割減少しており、全国的に流行拡大は落ち着きを見せています。大阪府をはじめとする主要都市部でも同様の減少傾向が報告されています。
一方で、妊娠中の女性における梅毒感染や先天梅毒については、全体の減少ほど大きく改善しておらず、高い水準で推移しています。梅毒に感染した妊婦から胎児へ感染する先天梅毒は重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、引き続き注意が必要です。
現在の国内状況は、「全体の患者数は減少している一方で、妊娠世代における感染リスクは依然として残っている」という二極化した状況にあると考えられます。そのため、症状の有無にかかわらず定期的な性感染症検査を受けることが重要です。
ペアライフクリニックの見解

上のグラフは、ペアライフクリニックで梅毒と診断された患者様数の推移を示したものです。
JIHS(国立健康危機管理研究機構)の発表によると、国内の梅毒報告数は2024年をピークに減少傾向がみられています。しかし、当院では現在も継続して梅毒と診断される患者様がおり、感染リスクがなくなったわけではありません。
梅毒は感染初期に症状が現れないことも多く、症状があったとしても自然に消失する場合があります。そのため、「症状がなくなったから治った」と自己判断してしまい、知らないうちに感染を広げてしまうケースも少なくありません。
また、近年は若年層だけでなく幅広い年代で感染が確認されており、妊娠中の感染による先天梅毒も依然として報告されています。全国的な報告数が減少している状況でも、性的接触の機会がある方や気になる症状がある方は定期的な検査を受けることが重要です。
妊娠中に梅毒への感染が判明した場合でも、早期に適切な治療を受けることで胎児への影響を最小限に抑えられる可能性があります。特に、母体に対してペニシリン製剤であるステルイズ(ベンジルペニシリンベンザチン)の筋肉注射による治療を行うことで、母体だけでなく胎児の梅毒に対しても治療効果が期待できます。
レナカパビル(Yeztugo)
グローバル承認ラッシュ
近年、HIV予防の分野では半年に1回の注射で予防効果が期待できるPrEP「Yeztugo(レナカパビル)」が世界的に注目されています。米国FDAでの承認に続き、アフリカ各国でも承認が進んでおり、導入が加速しています。
臨床試験では、「PURPOSE 1」でHIV感染者0例、「PURPOSE 2」では99.9%の予防効果が報告されました。毎日の服薬が必要な経口PrEPと比較して、服薬忘れの心配が少ないことから、次世代PrEPとして期待されています。
一方、日本では2024年にツルバダPrEPが承認されたものの、レナカパビルは未承認です。世界で普及が進む中、日本での導入にも注目が集まっています。
参照:YEZTUGO (Lenacapavir) FDA Approved HIV Prevention
ペアライフクリニックの見解
| 処方件数 | |
|---|---|
| 2026年5月 | 107 |
上の表は、2026年5月におけるペアライフクリニックのHIV PrEPの処方実績をまとめたものです。
2026年4月の処方実績は83件でしたが、2026年5月は107件となり、前月と比較して24件増加しました。近年はHIV予防に対する関心が高まっており、PrEP(曝露前予防内服)を活用して感染予防に取り組む方が増えています。
また、海外では半年に1回の注射で予防効果が期待できるレナカパビルの導入が進むなど、HIV予防の選択肢は拡大しています。日本では依然として経口PrEPが中心ですが、当院においても処方数は増加傾向にあり、HIVを予防するという考え方が徐々に浸透してきていることがうかがえます。
HIVは適切な予防によって感染リスクを大幅に低減できる感染症です。感染リスクがある方や予防を検討している方は、医療機関へ相談し、ご自身に合った予防方法を選択することが重要です。
50年ぶり新規系統経口淋菌薬の
国内上陸要望は時間の問題
淋菌の治療分野では、Innoviva社の「Nuzolvence(一般名:ゾリフロダシン)」が2025年12月に米国FDAの承認を取得し、2026年下半期の米国上市に向けて準備が進められています。ゾリフロダシンは「Spiropyrimidinetriones系」と呼ばれる新しい作用機序を持つ抗菌薬で、淋菌に対する新規系統の治療薬としては約50年ぶり、FDA承認薬としては約20年ぶりの登場となります。
第3相臨床試験では930例を対象に評価され、単回3gの経口投与で標準治療に対して非劣性が示されました。近年は世界各国で薬剤耐性淋菌の増加が問題となっており、日本でもセフトリアキソン耐性株(H041株)が報告されています。そのため、新たな治療選択肢としてゾリフロダシンへの期待が高まっています。現時点で日本では未承認ですが、今後の導入動向が注目されています。
参照:FDA Approves Nuzolvence for Drug-Resistant Gonorrhea
ペアライフクリニックの見解

未治療の梅毒は
心血管イベントリスクを高める
年、梅毒は性感染症としてだけでなく、心血管疾患との関連も注目されています。2025年に発表された研究では、約8,800人を15年間追跡した結果、梅毒患者は非感染者と比較して、大動脈瘤・大動脈解離のリスクが約2倍、脳梗塞が約1.5倍、出血性脳卒中が約1.9倍、心筋梗塞が約1.3倍高いことが報告されました。
梅毒は早期に発見し適切な治療を行えば治癒が期待できる感染症ですが、長期間放置すると神経や心血管系など全身に影響を及ぼす可能性があります。今回の研究は因果関係を証明したものではありませんが、梅毒による慢性的な炎症が心血管疾患の発症や進行に関与している可能性が示唆されています。
梅毒は無症状で経過することもあるため、感染の機会があった方は早めに検査を受け、適切な治療につなげることが重要です。
ペアライフクリニックの見解

梅毒に感染すると、性器のしこり(硬性下疳)やリンパ節の腫れ、発熱、体幹部を中心とした発疹などの症状が現れることがあります。しかし、これらの症状は自然に軽快することがあり、「治った」と勘違いしてしまう方も少なくありません。
一方で、梅毒は自然治癒することはなく、適切な治療を行わなければ体内に感染が残り続けます。実際には、発疹などの症状をきっかけに医療機関を受診する方が多いため、重症化するケースはまれです。
しかし、長期間にわたり治療を受けずに放置した場合、ゴム腫と呼ばれる腫瘤が皮膚や筋肉、骨などに形成されたり、心血管や神経に重篤な障害を引き起こしたりする可能性があります。梅毒は早期発見・早期治療によって完治が期待できる感染症であるため、感染機会があった方や気になる症状がある方は、定期的に検査を受けることが重要です。