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B型肝炎

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B型肝炎とは

B型肝炎は、血液を介して感染する肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)によって引き起こされる、肝臓の炎症を指します。
食欲不振、倦怠感、黄疸など、ウイルス性肝炎の典型症状がみられます。

劇症肝炎という重篤な病態や、慢性化し、肝硬変や肝細胞癌につながることもあります。
以前はよくみられた輸血後感染は現在では徹底した血液製剤の検査により、現在はほぼ起こりえませんが、薬物使用者が注射針を共用することによる感染や、性交渉を介して感染するリスクが有り、性感染症としての側面も持ちます。
また、感染した母親から生まれる新生児にも、分娩中の血液を介したB型肝炎の感染リスクがあります。

B型肝炎の感染者数

HBV持続感染者は世界では3.5億人とされています。
日本においても、B型肝炎は感染症法で5類に分類されており、急性肝炎の経過を取った場合、国が全数把握する対象となります。

2016年~2022年における届出数は1,410例で、年当たり届出数は136例~257例(男性111例~210例│女性20例~50例)と、男性が多くを占めます。

またそのうち性的接触での届出数が983例(70%)と大部分を占めます。

男性の性的接触感染数では、異性間性的接触が56%、同性間が30%となっています。
女性の性的接触感染数では、大半が異性間性的接触が占め、85%となっています。

参照:国立感染症研究所 B型肝炎とは

B型肝炎の感染経路

B型肝炎の感染は、B型肝炎ウイルス(HBV)の含まれる血液や体液が身体に入ることにより起こります。
そのため水平感染と呼ばれる性行為での感染と、出産時の母体から感染する子供への垂直感染が主な原因です。

水平感染の代表的な性行為以外の感染経路として、注射針・注射器の共用や、輸血・臓器移植も可能性として上がりますが、現代の徹底管理下であればほぼ起こりえません。
またカミソリや歯ブラシの共有で、感染してしまう確率もありますが、そちらも可能性としては低いと言えます。

また感染者と抱き合う(ハグ)、軽くキスをする、食器を共有する、一緒に入浴をするなどの程度であれば感染経路となる確率はさらに低くなり、日常生活内でB型肝炎に感染してしまうという可能性はごくわずかです。

参照:国立感染症研究所 B型肝炎とは

B型肝炎の症状

肝炎の症状は「急性・劇症肝炎」と、「慢性肝炎」とに分かれます。

どちらの場合も、免疫を担当するリンパ球などの炎症細胞が肝臓でウイルスと戦い、結果として肝臓にもダメージを起こすことが本態です。

急性・劇症肝炎の症状

急性・劇症肝炎は成人後に初めてB型肝炎ウイルス(HBV)に感染して発症したものを呼びます。

成人が感染した場合は免疫が活発なため、7~8割の人は症状もないままウイルスが排除されます。
しかし残りの2~3割は、急性肝炎として発症してしまいます。
感染後は1~6ヶ月の潜伏期間があり、潜伏期間を経て全身の倦怠感・悪心・嘔吐・黄疸などが見られてきます。また初期症状として、尿の色が褐色になるケースもあります。
このような症状があらわれることを「顕性感染」と呼ぶ一方で、症状が出現しないまま治ってしまう「不顕性感染」ということもあります。

程度が軽い、いわゆる軽症であればよいのですが、激しい肝炎(劇症肝炎)を起こすと命にかかわる場合もあるため、B型肝炎はあなどれない病気です。

慢性肝炎

慢性肝炎は出生時や乳幼児期にHBV感染し、持続感染として肝臓の炎症が6か月以上発症したものを呼びます。

上記の急性肝炎にかかると、5~10%の人ではウイルスが体内に残り、慢性肝炎になってしまいます。また、母子感染したHBVが、乳幼児の未発達な免疫では排除できず、持続的に感染し、思春期以降に発達した免疫によって炎症が起こり、慢性肝炎となるケースもあります。

慢性肝炎はほとんどの場合は無症状ですが、体の怠さ、食欲不振、疲労などの症状が見られる人もいます。慢性肝炎が進むと肝硬変という状態になり、浮腫みやお腹に水が貯まる腹水、黄疸、貧血、全身の強い怠さなどが出現します。肝硬変は肝細胞癌にまで進展することもあります。

B型肝炎の検査方法

採血で検査を行います。

当院ではHBs抗原 (=現在の感染を表すもの)、HBs抗体(=治癒した過去の感染を表すもの)、HBc IgM抗体(=感染早期に上昇するもの)を組み合わせて感染を判断します。

検査可能な時期

B型肝炎ウイルス(HBV)に現在感染しているかどうかを示すHBs抗原は、感染後2ヶ月ほどしてから上昇するとされており、それ以前では陽性と判断できず、感染に気付かないことがあります。

B型肝炎の治療方法

急性肝炎は9割近くが自然治癒します。
治療としてはそれまでの安静や食事療法などです。

慢性肝炎は肝臓の炎症が持続することで、肝臓にダメージが蓄積し線維化という硬くなっていく状態を防ぐことが大切です。
そのため、肝庇護薬と呼ばれるお薬で肝臓を守り、肝臓のダメージの程度やウイルスの量に応じて、ペグインターフェロンや核酸アナログという抗ウイルス薬を使用します。


しかしこれらのお薬でも、ウイルスを体内から完全に排除することはできません。

B型肝炎の予防方法

血液・体液を介して感染することが一般的ですので、他人の血液や体液に接触する機会をできるだけ減らすことが基本です。血液・体液が付着した器具を扱うことがあれば充分に洗浄・消毒することが重要でしょう。


また針の回し打ちや歯ブラシ、カミソリの共用は避けましょう。

性行為の際には正しくコンドームを使用することが大切です。母子感染の予防、感染機会の多い医療従事者の感染予防としてはワクチン接種が推奨されています。また平成28年10月より1歳未満の新生児もワクチンが定期接種となっています。

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