トリコモナス

トリコモナス症とは

トリコモナス症は、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)という名の原虫(寄生虫)が、腟または尿道に感染することで起こる性感染症で、腟が過敏になったり分泌物が出たり、排尿時に痛みが出たりします。

トリコモナスの感染者数

日本では感染症法条の規定がなく集計がされていませんが、世界全体では2020年に、15‐49歳の人々の間で約 1 億 5600万人が膣トリコモナス感染症を新規に発症したとされています。これは二位のクラミジア 1億2900万人を上回って、性感染症としては感染者数世界一位です。

https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/trichomoniasis

トリコモナスの感染経路

腟トリコモナスは、基本的には性行為でうつる感染症です。

患者自身の腟だけでなく、パートナーの尿路、前立腺 などにも侵入し、ピンポン感染と呼ばれるパートナーとの交互の感染も起こします。
また、性交経験のない女性や幼児にも感染する方がおり、性行為以外の感染経路として、下着やタオルなどを通したものや、便器や浴槽を通じた感染などが考えられます。

トリコモナスの症状

女性の症状

女性の場合は、腟から黄緑色の泡立った生臭いおりものが出ます。陰部が敏感になって痛みを生じ、性交時にも痛みが起こります。
重症の場合、陰部や周辺の皮膚が炎症を起こし、陰唇が腫れることもあります。尿道に感染すると、排尿時に痛みを生じ頻尿にもなります。腟と尿路の症状は、同時に起こることもあります。

男性の症状

トリコモナス症に感染した男性の症状は、軽いことが多いですが、尿道から泡状の分泌物が出て、排尿時に痛みが出たり、頻尿になることもあります。
また症状が軽くても、セックスパートナーに感染する可能性があります。

トリコモナスの潜伏期間

トリコモナスの症状に関し、個人差は大きいですが潜伏期間は男性の場合10日前後、女性の場合は5日~14日前後ほどです。

感染した方で無症状の方は、20%~50%と多くいるためいつ感染したかを正確に把握することは難しく、感染機会を調べるのも難しいと言えます。

トリコモナスの検査方法

尿やおりものを顕微鏡で調べたり、培養をすることでトリコモナスがいることを確認します。

当院では尿中やおりもの中の、トリコモナスのDNAをPCRというやり方で増幅をさせ確認の上、診断を行います。

トリコモナスの治療方法

メトロニダゾールという抗真菌薬を1日2回 7日間内服することで治療します。

パートナーの男性から再び感染を受けることがあるため、パートナーの検査・治療も重要です。

トリコモナスの予防方法

他の性感染症と同様にコンドームを常に正しく使用することが基本で、最も重要となります。
また、不特定多数の相手と性交したりするなど、安全でない性行為は避けるべきです。