尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマとは

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus:HPV)6、11型などが原因となるウイルス性性感染症で、生殖器とその周辺に発症します。
HPVウイルスとは人において最も一般的な性感染症の病原体の一つであり、性行為を行ったことのある成人男女であれば、生涯のうちに少なくとも1つのHPV株に感染すると言われています。

尖圭コンジローマで発症するHPVは良性型の場合が多いですが、一部のコンジローマから悪性型のHPVが検出されることもあります。悪性型の場合、放置しておくことで男性は陰茎がん・女性の場合は子宮頸がんを引き起こす可能性もあるため、早めの検査・治療が重要です。

先の尖ったイボのような腫瘍性病変を形成することから、尖圭コンジローマという病名がついていますが、発症しても自覚症状はあまりなく、不快感や性器のかゆみ、出血などが生じてから発症に気づくケースが多いです。

尖圭コンジローマの感染者数

尖圭コンジローマは全国1000弱の定点医療機関で感染者数が報告、集計されており、2021年には合計 5,602人、一医療機関当たり5.69人の感染者が報告されています。

2005年には男女ともにピークから減少傾向にあったのが、2012年より再び増加傾向となっています。

男性では2017年以降、20代後半に感染者が多く、20代前半とともに増加傾向となっており、女性では2019年以降10代後半から20代前半で増加しています。

厚生労働省 性別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移

尖圭コンジローマの感染経路

性的接触により皮膚や粘膜の微小な傷から皮膚の細胞に感染し、3週~3か月の潜伏期間を経て乳頭腫と呼ばれるイボを作ります。全ての患者さんがイボを発症するわけではなく、症状のない無症候性感染や、ウイルスの極めて少ない潜伏感染の状態もあります。

同性愛者の肛門性交では、肛門内に発症することもあります。

尖圭コンジローマの症状

ニワトリのとさかのような、またはカリフラワーのような淡い紅色、褐色のイボが性器周辺に生じます。
基本的には痒みや痛みなどの症状は乏しいとされていおますが、大きくなると痛みが出たりすることもあります。

男性の主な症状

男性では亀頭やその手前の溝の部分、陰嚢などに薄いピンク色または茶色の鶏のトサカ状やカリフラワー状、または乳頭状(おわんを伏せた形)のイボを生じることが多いです。
包茎の男性は感染リスクが高く難治性です。

また肛門周辺や肛門内、尿道口にも感染し、尿道・直腸内部にも発症することがあります。

症状としては無症状の方がほとんどですが、かゆみや痛みを伴うことも稀にあります。

女性の主な症状

女性でも同じく薄いピンク色または茶色の鶏のトサカ状やカリフラワー状、または乳頭状(おわんを伏せた形)のイボを大小陰唇、会陰部、膣、子宮の入り口である頸部にも発症することがあります。

母子感染をするリスクもあるため、妊娠・出産を控えているかたは妊婦健診を受けましょう。

症状としても男性と同じく無症状の方がほとんどですが、かゆみや痛みを伴うことも稀にあります。

尖圭コンジローマの検査方法

コンジローマのあるパートナーとの性交があり感染リスクがあること、視診で特徴的なイボを認めることから診断されます。また、患部のぬぐい液よりウイルスDNAを検出することで診断することも可能です。
ただし、潜伏期間が3週間~3ヵ月前後あるため、感染機会があってもすぐには症状が現れず、検査可能時期も3週間以降を目途に行います。

尖圭コンジローマの治療方法

薬物療法としてはイミキモド5%クリームという塗り薬を週3回塗布し、6-10時間後に洗い流すことを繰り返します。治るまで時間もかかり、16週の継続が必要とされています。
しかし治療を行ったうえでも、再発する可能性が
20-30%あるとされています。

また病変を凍結壊死させる凍結療法や、外科的切除などもあり、複数の治療を組み合わせて行うこともあります。
いったん治癒してもパートナーからの再度の感染の可能性もあり、二人で治療を受けることが重要です。

尖圭コンジローマの予防方法

尖圭コンジローマを発症する、HIVは皮膚や粘膜の微小な傷から侵入・感染するため、感染予防にはコンドームの使用が基本となりますが、ウイルスに未感染の場合にはHPV6型、HPV11型へのワクチンがあり、これを接種することで予防に効果があるとされています。