HPV(ヒトパピローマウイルス)
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- HPV(ヒトパピローマウイルス)
- 感染経路と潜伏期間
- 症状と経過
- 治療・予防・費用
- 尖圭コンジローマの治療は、外科的治療または外用薬(塗り薬)により行います。
- 子宮頸部の細胞の変化は、程度に応じて経過観察や、子宮頸部の一部を切り取る円錐切除術などを行います。
- 円錐切除術を受けたあとの妊娠では、流産や早産のリスクが高まるといわれています。
- 血小板減少症や、出血が止まりにくい病気(凝固障害)がある方
- 心臓・腎臓・肝臓・血液の病気や発育の障害などの持病がある方
- けいれんを起こしたことがある方
- ワクチンを受けたあとや、けがのあとに、原因の分からない痛みが続いたことがある方
- 免疫不全と診断されたことがある方
- 先天性免疫不全症のご家族がいる方
- 免疫を抑える薬を使用している方
- 過去の予防接種後に発熱したことがある方
- 過去の予防接種後に、全身の発疹などアレルギーが疑われる症状が現れたことがある方
- ワクチンの成分に対してアレルギーを起こすおそれがある方
- HPV中・高リスク検査
- 19,800
- HPV全型検査
- 24,800
- 9価ワクチン
- 29,800
- 採取した部位の、その時点でのHPV感染の有無を調べる検査です。対象は中・高リスク検査で13の型、全型検査で15の型です
- がんがあるかどうかを判定する検査ではありません
- 自治体が行う子宮頸がん検診の代わりにはなりません
- 陰性でも、調べていない型や採取していない部位の感染まで否定するものではありません
- 自治体の子宮頸がん検診は、細胞診が20歳以上で原則2年に1回、HPV検査単独法が30歳以上で原則5年に1回です。HPV検査単独法は2024年4月に国の指針に加わり、行うかどうかは市区町村が決めます。検査方法・費用・実施場所については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
- 定期接種(公費)は、小学6年〜高校1年相当の女子が対象で、市区町村が行います。2026年4月1日から、定期接種のワクチンは9価(シルガード9)の1種類になりました。定期接種で健康被害が出たときは、予防接種法に基づく救済制度があり、申請を考えるときの相談先は、診察した医師、保健所、住んでいる市区町村の予防接種の担当課です。
- キャッチアップ接種は2025年3月末、残りの接種を公費で受ける経過措置は2026年3月末に終了しました。
- 対象年齢を過ぎた方は任意接種となり、費用は全額自己負担です。当院の接種も自費の任意接種となります。定期接種の対象年齢の方は、お住まいの市区町村の制度もご確認ください。
- 保健所の性感染症の検査でHPVや尖圭コンジローマを調べられるかは、お住まいの地域の保健所へお問い合わせください。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性行為などによって男性・女性ともに感染するウイルスです。
子宮頸部の感染の約90%は2年以内に検査で検出されなくなりますが、一部は感染が持続し、子宮頸がんなどの原因になります。
感染が疑われる場合や気になる症状がある場合は、医師にご相談ください。
HPVについての要約
感染経路と潜伏期間
【感染経路】
主に性行為による粘膜の接触で感染します。
【潜伏期間】
尖圭コンジローマは、感染から数週間〜3か月程度でイボが現れます。がんに関わる高リスク型は、症状が出ないまま感染が続くことがあります。子宮頸部で感染が持続した一部の方では、前がん病変(がんになる前の細胞の変化)まで通常5〜10年以内、がんまで数年〜数十年かかります。
症状と経過
【症状】
子宮頸部の前がん病変には、通常、自覚症状はありません。低リスク型による尖圭コンジローマは、性器や肛門のまわりにイボができ、違和感やかゆみ、痛みを伴うことがあります。
【経過】
子宮頸部の感染の約90%は、2年以内にHPV検査で陰性になります。子宮頸部では一部(数%〜約10%)で感染が続き、高リスク型では年単位で前がん病変やがんに進むことがあります。
治療・予防・費用
【治療】
治療の対象は、HPVが原因でできた病変(イボや前がん病変)です。病変が認められない場合は、治療を行わず、検診や経過観察を続けます。
【予防】
子宮頸がんの予防の柱は、ワクチンと子宮頸がん検診の2つです。コンドームはHPVの感染予防に役立つ方法の1つで、ワクチンや検診と組み合わせて使います。
【料金】
当院のHPV検査は、調べる型の数により19,800円または24,800円です。9価ワクチン(シルガード9)は1回29,800円(3回の合計89,400円)で、いずれも自由診療です。


目次
この記事の監修ドクター
百束 全人 ペアライフクリニック横浜院 院長
平成30年 日本医科大学医学部 卒業
▼所属学会
日本性感染症学会 会員
日本感染症学会 会員
日本エイズ学会 会員
初期研修と後期研修を経て、ペアライフクリニック横浜院の院長を務める。
HPVとは
HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、200以上の型があります。性行為などによって男性・女性ともに感染します。
低リスク型と高リスク型
粘膜に感染する型は、がんとの関わりで低リスク型と高リスク型に分けます。
| 分類と主な型 | 主に関わる病気 |
|---|---|
| 低リスク型 (6型・11型) | 尖圭コンジローマ (良性のイボ) |
| 高リスク型 (16型・18型など) | 子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がん、腟がん、外陰がん、陰茎がん |
低リスク型が原因の尖圭コンジローマは、性器や肛門のまわりにできる良性のイボです。高リスク型のなかでも16型と18型は、前がん病変や子宮頸がんへの進行が多く、進行も速いといわれています。
HPVの感染頻度
性的な接触のある女性の50%以上が、生涯に一度はHPVに感染します。男性にも感染する、身近なウイルスです。
HPVの感染経路
主な感染経路は、性行為による粘膜の接触です。性行為のときに皮膚や粘膜にできるごく小さな傷から、ウイルスが入り込みます。HPVによる病変は、性器のほか、肛門やのど(中咽頭)にも発生します。
性行為以外の感染経路
尖圭コンジローマには、性的な接触以外のまれな感染経路もあります。手指を介した幼児への感染や、出産時に産道を通じて赤ちゃんに感染する垂直感染が報告されています。垂直感染では、赤ちゃんののどにイボ(喉頭乳頭腫)ができる可能性が指摘されています。
HPVの症状と感染したあとの経過
子宮頸部の前がん病変(異形成)は、自覚症状がないことが多く、子宮頸がん検診で見つかります。低リスク型による尖圭コンジローマも自覚症状は少なく、性器や肛門のまわりにとさか状・乳頭状のイボができて、違和感やかゆみ、痛みを伴うことがあります。HPVに感染しても、多くの場合は無症状です。
HPVは自然に治るのか
子宮頸部の感染では、多くは免疫の働きで排除され、約90%は2年以内にHPV検査で陰性になります。ただし子宮頸部の感染では、一部(数%〜約10%)が長く続き、前がん病変へ進むことがあります。男性の感染の持続期間や自然経過については、十分に解明されていません。陰性になったあとも、HPVには一生のうちに何度も感染することがあります。経過観察中に気になる症状が現れた場合は、医療機関を受診してください。

出典:厚生労働省「HPVワクチンQ&A」(子宮頸部の感染)。灰色の部分は、がんになる割合を示すものではありません。
感染が続いたときに起こること
子宮頸部で高リスク型の感染が持続した方の一部に、通常5〜10年以内にCIN2・CIN3などの前がん病変ができます。病変は進行する場合も、自然に改善する場合もあります。浸潤がんになるのは、高リスク型に感染した方の約0.15%と推定されています。
持続感染や病変の有無は、検査と診察で確認します。ご自身やパートナーの検査結果が陽性だった場合の検査については、女性のHPV検査をご覧ください。
HPVの潜伏期間
HPV感染から症状が出るまでの期間は、病気の種類によって異なります。尖圭コンジローマの潜伏期間は感染から数週間〜3か月程度ですが、高リスク型は、症状が現れるまでの期間が定まっていません。
| 病気・状態 | 感染からの期間の目安 |
|---|---|
| 尖圭コンジローマ(低リスク型) | 数週間〜3か月程度 |
| 高リスク型の感染 | 症状が現れるまでの期間は定まっていない |
| 子宮頸部の前がん病変 | 感染が続いた場合、 通常5〜10年以内 |
| 子宮頸がん | 感染が続いた場合、 数年〜数十年 |
イボが疑われる症状がある場合は、潜伏期間にかかわらず医療機関を受診してください。
HPVが原因となる病気
高リスク型は、子宮頸がんのほか、中咽頭がん・肛門がん・腟がん・外陰がん・陰茎がんにも関わると考えられています。低リスク型は、尖圭コンジローマを起こします。
子宮頸がん
子宮頸がんの患者さんの90%以上でHPVが見つかります。
初期にはほとんど症状がないことが多いものの、生理以外の出血、性行為のときの出血、おりものの増加が見られることがあります。進むと、下腹部や腰の痛み、血尿が出ることもあります。前がん病変を早期に発見するために、20歳を過ぎたら症状がなくても子宮頸がん検診を受けてください。生理以外の出血や性行為のときの出血が続くときは、検診の時期を待たずに医療機関を受診してください。
中咽頭がん・肛門がんなど
HPVワクチン(9価)は、男女の肛門がん予防に承認されていますが、中咽頭がんと陰茎がんの予防は効能に含まれていません。また、子宮頸がん以外のHPV関連がんでは、検診方法が確立されていません。のどや肛門のまわりに気になる症状が続くときは、医療機関を受診してください。
HPVと尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは主に6型と11型による良性のイボで、とさか状やカリフラワー状と表現される、表面がとげとげした淡紅色〜褐色の盛り上がりです。性器や肛門のまわりなどにできます。
典型的なイボは、多くの場合、医師の視診で診断します。
視診ではHPVの型やがんの有無は判定できないため、イボが疑われる場合は医師の診察を受けてください。
HPVの検査方法
HPV検査は、採取した部位のHPV感染の有無を調べる検査です。がんの有無を判定する検査ではなく、当院の検査は自治体が行う子宮頸がん検診の代わりにはなりません。
子宮頸部のHPVは、HPV検査単独法を導入している市区町村の子宮頸がん検診(30歳以上)と、医療機関のHPV検査で調べます。検診の細胞診は、HPVそのものではなく、子宮頸部の細胞の変化を調べます。
当院の女性のHPV検査は、採取用トイレで腟分泌液をご自身で採取していただきます。内診台は使用しません。

当院の男性のHPV検査は、男性器を綿棒でぬぐって採取した検体を使用します。のど(咽頭)の検査ではうがい液を使用します。
陰性という結果は、採取した部位で、その時点のHPVが検出されなかったことを示しています。ほかの部位の感染や、その後の感染を否定する結果ではありません。
気になる変化やのどの症状が続く場合は、検査結果が陰性でも医療機関を受診してください。
HPVの治療
男女とも、治療の対象はHPVそのものではなく、HPVが引き起こした病変です。
病変がない場合
HPVが検出されても、病変がない場合には治療を行いません。当院のHPV検査で陽性だった方には、年齢や検査の種類、これまでの経過に応じて、次回の検査時期をご案内します。自治体の検診でHPV検査単独法が陽性でも、細胞診で異常がなかった方は、1年後に追跡検査を受けます。経過観察中に気になる症状が現れた場合は、医療機関を受診してください。
病変が認められた場合
治療方法は、病変の種類や状態によって異なります。
当院では、尖圭コンジローマに対して外用薬(ベセルナクリーム5%)による治療を行っています。外科的切除などの治療は行っておりません。塗り薬でイボが消えないときや外科的治療を考えるときは、外科的治療を行っている医療機関を受診してください。子宮頸部・のど・肛門の病変が疑われるときは、専門の検査と治療ができる医療機関を案内します。治療方法は、ご本人の希望も伺いながら医師と相談して決定します。
尖圭コンジローマは、治療でイボが消えたあとも再発することがあり、治療を終えてからも最低3か月は経過を見ます。再発したときは、あらためて医師と治療を相談します。目に見える病変があるうちは、治療が済むまで性的な接触を控えてください。
HPVの予防
HPVと子宮頸がんの予防には、ワクチン(1次予防)と子宮頸がん検診(2次予防)の2つが重要です。コンドームは、尖圭コンジローマとHPVの感染を防ぐ大事な方法の1つで、ワクチンの接種や子宮頸がん検診と組み合わせて使います。
ワクチンで防げる型と回数
当院で使用する9価ワクチン(シルガード9)の対象は、6・11・16・18・31・33・45・52・58の9つです。効能・効果は、子宮頸がんとその前がん病変、外陰と腟の前がん病変、肛門がんとその前がん病変、尖圭コンジローマの予防です。男性で接種の対象になるのは肛門がん(前がん病変を含む)と尖圭コンジローマの予防で、中咽頭がんと陰茎がんの予防は効能に含まれていません。
9つの型のうち16・18・31・33・45・52・58型の7つが、日本の子宮頸がんの原因の80〜90%を占めます。接種によってがんの発症が80〜90%減少することを示す数値ではありません。9つの型以外による病変と、扁平上皮がん以外の肛門がんへの効果は確認されておらず、効果の持続期間も確立していません。
接種時点ですでに感染している型を排除したり、発症している病変を治療したりする効果はありません。性交渉の経験がある方も、まだ感染していない型には予防の効果が期待されるので、接種するかは医師と相談して決めます。接種は、初めての性交渉の前に受けるのが最も効果的です。回数は始める年齢で変わり、15歳以上で接種を開始した方は3回(初回、2か月後、6か月後)受けます。9歳以上15歳未満で接種を開始した方は、6〜12か月あけた2回で終えることもあります。
以下に該当する方は、接種前に医師へお伝えください。
接種の流れや費用については、子宮頸がんワクチンをご覧ください。男性の接種については男性のHPVワクチン、副反応についてはHPVワクチンの副反応で詳しくご案内しています。
9価の効能や接種回数についてはシルガード9、ワクチンの種類については4価と9価の違いをご覧ください。
ワクチンと子宮頸がん検診の役割
ワクチンは感染を防ぎ、検診は感染が続いてできた前がん病変を早く見つけます。ワクチンはすべての高リスク型を防ぐわけではなく、接種は定期的な子宮頸がん検診の代わりになりません。接種した方も、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を受けてください。
当院のHPV
検査・予防と費用
当院では、2024年5月〜2026年6月に956件のHPV検査を行いました。
当院では、HPV検査、9価ワクチン(シルガード9)の接種を行っております。
ワクチンの主な副作用(副反応)は、注射した部位の痛み・腫れ・赤みと頭痛で、発熱やめまいが出ることもあります。重大な副反応や、接種前に医師へ伝える必要がある病気・薬については、副反応と接種にあたっての注意点をご覧ください。
HPV検査についての注意点
HPVの検査結果について
当院のHPV検査は、どちらも検査結果のご報告まで7〜10日いただいております。当日中に結果がわかる迅速検査は行っておりません。検査結果は、氏名や住所の登録が不要なWEBのマイページで確認いただけます。
HPVの予約・受付について
検査・ワクチンの接種ともに予約は不要で、匿名で受診いただけます。待合室は完全個室です。
氏名・住所の登録や身分証・保険証の提示は不要ですが、検査結果を確認するWEBのマイページには電話番号の登録(SMS)が必要です。
料金や検査内容、リスクについてのご質問は、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
HPVの検査とワクチンの事前来院受付→自治体の検診・定期接種について
自治体では、子宮頸がん検診やHPVワクチンの定期接種を実施しています。
定期接種の対象世代の接種率については、HPVワクチンの接種率をご覧ください。検査や接種については、年齢や過去の検査結果、これまでの経過を踏まえて医師がご案内します。
HPVについてのまとめ
HPVは身近なウイルスで、多くは自然に排除されますが、高リスク型の感染が持続すると、年単位で前がん病変やがんにつながることがあります。
子宮頸がんの予防には、ワクチンと検診の2つが重要です。ワクチン接種後も、定期的に子宮頸がん検診を受けてください。
HPVの
よくある質問
A.
感染してすぐにがんになるわけではありません。子宮頸部の感染の約90%は2年以内にHPV検査で陰性になり、感染が持続した一部の方に、通常5〜10年以内に前がん病変ができます。浸潤がんになるのは、高リスク型に感染した方の約0.15%と推定されています。前がん病変は症状が出にくいので、子宮頸がん検診で見つけます。
A.
あります。子宮頸部の前がん病変には通常、自覚症状がなく、尖圭コンジローマも自覚症状が少ない病気です。感染が心配な性行為や、気になる症状がある場合は、医師にご相談ください。
A.
必要です。ワクチンはすべての高リスク型を防ぐわけではないため、接種した方も、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を受けてください。詳しくはワクチンと子宮頸がん検診の役割をご覧ください。
A.
赤ちゃんへの感染は、まれに出産のときに産道で起こり、のどにイボ(喉頭乳頭腫)ができる可能性が指摘されています。子宮頸部の前がん病変を治療した場合は、円錐切除術を受けたあとの妊娠で、流産や早産のリスクが高まるといわれています。ワクチンの接種については、妊娠中の方には有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に限って行います。
妊娠中の方、妊娠を考えている方は、検査・治療・接種の前に医師へ伝えてください。
