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HIV

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HIVとは

HIVとはヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus)のことで、HIVが性行為などによりCD4陽性Tリンパ球という免疫細胞に感染し、これらを破壊することで免疫力の低下を起こし、AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症させてしまうウイルスの名前です。

AIDSを発症してしまうと、普段感染しない病原体にも感染しやすくなり様々な病気を発症します。
AIDSと診断されるには代表的な23の疾患があり、これらを発症した時点でAIDSとなりますが、近年では治療薬の開発が飛躍的に進み、早期に服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることができるよう世界も変わってきています。

ウイルスを完全に体から排除し完治させるということは難しい病気のため、昔は感染してしまうと死んでしまう病として恐れられていましたが、現代は早期発見・早期治療と治療の継続を行えることから、感染後も通常通りの生活を送ることができる感染症です。

HIVの感染者数

2022 年に国内で報告 された HIV 感染者は 632 件、AIDS 患者は 252 件であり、HIV 感染者と AIDS 患者を合わせた新規報告数は 884 件でした。累積報告数は、2022 年末の時点では HIV 感染者 23,863 件、AIDS 患者 10,558 件で 計 34,421 件です。

世界では新規HIV患者は減少傾向であるが、日本では横ばいで推移しています。

令和4(2022)年エイズ発生動向年報(1月1日~12月31日)

HIVの感染経路

HIVに感染する行為

感染は粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故など)からなり、傷のない皮膚からは感染しません。
唾液や涙等の分泌液中に含まれるウイルス量は存在したとしても非常に微量のため、お風呂やタオルの共用で感染した事例は報告されていません。

最も多いのは性行為による感染で、女性は膣粘膜から、男性は性交によって生じる亀頭部分(粘膜)の細かい傷から、精液、膣分泌液に含まれるHIVが侵入することで感染を起こします。
男性同性間の性的接触では、腸管粘膜が傷つきやすいため感染も容易で、日本では男性同性愛者による感染が過半数を占めていると言われています。

※1回の性行為での感染率は0.3%以下である。

※他の性行為感染症を合併しているとHIV感染リスクは高まる。

HIVでの感染で起こる病気

CD4陽性Tリンパ球が破壊され、免疫が低下することで普段では問題ないような、ウイルス、カビなどに感染する日和見感染や、悪性腫瘍を生じます。
また、脳のグリア細胞にも感染し認知症(HIV脳症)も生じるとされています。

HIVの潜伏期間

1_急性期 

感染後 半数以上の患者は2-6週後に急性のウイルス感染症状(発熱、頭痛、関節痛、咽頭痛、リンパ節腫脹)を起こします。この時期は体内でウイルスが盛んに増殖し、血中のウイルス量が多くなります。感染して1か月した頃より血清HIV抗体が陽性となります。

2_無症候期

6ヵ月後には患者の免疫によってウイルス量は一定レベルまで低下します。この時のウイルス量が多いほど、またはCD4陽性リンパ球が少ないほど、HIV感染は早く進行するとされます。

その後、数年から10年に渡りHIVウイルスの増殖とCD4陽性リンパ球の低下が進みますが、この時点では症状はありません。

3_AIDS期

さらに病勢が進行して免疫が低下(CD4陽性リンパ球 200/μL未満が多い)すると、上記のような感染症を発症し、AIDSと診断されます。

HIVの検査方法

採血検査で診断されます。

主な検査に抗HIV抗体検査、ウエスタンブロット法、RT-PCR法などがあり、まずは感染のスクリーニングとしてHIV抗体を測定し、陽性の場合に後者2つで確定診断となります。
HIV抗体は感染成立後、産生されるまでに時間がかかり、感染一月以内では半数の感染者が抗体陰性となり、これをwindow期と呼びます。

HIVの治療方法

多剤併用による抗レトロウイルス療法(Anti Retroviral Therapy)を行います。

免疫の低下だけに留まらない、ウイルス感染による合併症の予防や、他者への感染予防の観点から、治療はCD4陽性リンパ球の値に関わらず、なるべく早期に開始することが望ましいとされます。
治療においては、内服忘れなどによるウイルスの薬剤耐性が問題となるため、服薬の遵守が重要であり、個人に合った薬剤の選択も大切です。

HIVの予防方法

感染を予防するワクチンは存在しないため、体液が粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすることが重要です
性行為の場合、HIV感染を防ぐためには、必ずコンドームを使用すること、また相手に使用してもらうことが不可欠となります。
オーラルセックスの場合も、口腔粘膜に傷があれば感染リスクが高まるため、コンドームを使用することが大切となります。

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