症例概要
1ヶ月前から喉の痛み、性器のかゆみ、痛み、しこり、いぼなどの症状が現れていため受診。性的接触はオーラルセックスのみ。しかし、感染機会は不明。今回の患者様の症状から、淋菌やクラミジア、マイコプラズマ・ウレアプラズマ、尖圭コンジローマなど、複数の性感染症が疑われたため、男性器チェックと視診、尖圭コンジローマのぬぐい検査を実施。検査の結果、男性器の根本付近に2mmほどのいぼが確認されたため、尖圭コンジローマと診断しました。淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査結果はすべて陰性。治療は、ベセルナクリーム5%(外用薬)を用いて実施。
感染経路
オーラルセックスによる感染の可能性があるが、明確な感染機会は不明。
診察内容
問診:既往歴、症状、感染機会などについて問診を実施。検査:今回の患者様は症状が多かったため、性器のかゆみや痛み、しこり、いぼなどを幅広く調べられる検査プランで検査を実施。治療:ベセルナクリーム5%(外用薬)を隔日で計3回塗布し、自覚症状の消失をもって治療を完了。指導:尖圭コンジローマは再発する可能性が高いことを通達。
医師の解説
尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の6型や11型に感染することで発症します。感染すると、性器や肛門の周囲にいぼや鶏冠(とさか)のような突起があらわれますが、痛みやかゆみなどの自覚症状がないことが多く、見えにくい場所にできた場合は気づかないことも少なくありません。また、感染から症状が出るまでには2〜3か月ほどかかるため、感染経路を特定することは難しいです。HPV感染を予防するためには、HPVワクチンの接種が効果的です。特に、HPV16型や18型などの高リスク型に感染すると、子宮頸がんの原因となることがあり、将来的に不妊につながる可能性もあります。そのため、男性もパートナーへの感染を防ぐ目的で、HPV予防ワクチンの接種が推奨されています。
副作用リスク
ベセルナクリーム5%(外用薬)の副作用として、塗布部位に赤みやかゆみ、腫れなどの症状が現れることがあります。これらの症状は比較的軽度で一時的なものが多いですが、症状が強い場合は使用を中止し、当院までご連絡ください。また、尿道付近に塗布した場合、排尿が困難になることがあるため、塗布する部位には注意が必要です。