【2026年8月2週目】性病のトピックス

【梅毒】累計6,582例|減少基調も高原状態

JIHSの感染症発生動向調査によると、2026年の梅毒新規報告数は、7月26日までの集計で全国6,582例となりました。7月20日〜26日の1週間では129例が報告されています。

前年と比べると報告数は減少していますが、減少幅は鈍化しており、現在は「減少基調にあるものの、高原状態」で推移しています。東京都は1,577例、大阪府は741例と、大都市圏では依然として高い水準が続いています。

梅毒全体では減少傾向がみられる一方、「梅毒は減っている」という認識から検査を先延ばしにすることには注意が必要です。特に妊娠・先天梅毒については、感染を見逃さないためにも、女性や妊娠可能年齢層への検査・啓発が引き続き重要です。

参照:国立健康危機管理研究機構(JIHS)

ペアライフクリニックの見解

2025年7月2026年7月
梅毒の検査数2,832件5,268件
梅毒の治療数60件52件

上のグラフは、ペアライフクリニックにおける2025年7月と2026年7月の梅毒の検査数と治療数を比較したものです。全国的に梅毒の感染者数が減少傾向にある中、当院においても同様の傾向がみられました。

2025年7月の陽性率は約2.12%だったのに対し、2026年7月は約0.99%まで低下しています。検査数は増加しているにもかかわらず陽性率が低下していることから、梅毒の感染状況が改善している可能性が考えられます。

感染者数が減少した背景には、性感染症に対する予防意識の高まりがあると考えられます。性行為時のコンドーム使用に加え、近年ではDoxy-PEP(ドキシペップ)など、新たな予防方法も認知されるようになりました。こうした予防に対する意識の高まりが、梅毒をはじめとする性感染症の感染者数減少につながっている可能性があります。

【TMvii】初のテルビナフィン耐性例
日本では未報告

Trichophyton mentagrophytes genotype VII(TMvii)は、米国や欧州などで地域内伝播が続いています。今号の注目点は、TMviiで初のテルビナフィン耐性確定例が報告されたことです。

チュニジアの35歳女性で、経口テルビナフィンが無効となり、感受性試験で耐性を確認。イトラコナゾールによる治療で完治しました。ただし、現時点では単発の症例報告であり、耐性が広がっていることを示すものではありません。日本国内ではTMviiの症例報告や注意喚起は確認されておらず、今後の動向が注目されます。

参照:Int J STD AIDS

ペアライフクリニックの見解

【TMvii】

今回、TMviiに対して初めて治療薬であるテルビナフィンへの薬剤耐性が確認されました。TMviiは白癬菌の一種であり、テルビナフィン以外にも抗真菌薬による治療が可能です。

しかし、今後ほかの抗真菌薬に対しても薬剤耐性が生じる可能性があります。複数の治療薬に耐性を持つようになると、治療の選択肢が限られるため、今後は薬剤耐性の動向を注視するとともに、新たな治療薬の研究・開発が重要となります。

梅毒治療薬「ステルイズ」
全規格が出荷停止

米国では、梅毒の第一選択薬であるBicillin L-Aの供給不足が続いており、回復見込みは2027年第4四半期とされています。代替薬として、FDAが臨時輸入を認めたポルトガル製のLentocilinが使用されています。

一方、日本ではファイザーの通知により、成人梅毒治療の主力薬「ステルイズ水性懸濁筋注240万単位シリンジ」が在庫消尽後に出荷停止となり、再開は2027年後半の見込みです。60万単位製剤はすでに出荷停止となっています。代替品は承認されておらず、今後は同効薬による治療が検討されるなど、国内でも梅毒治療薬の供給不足が長期化する可能性があります。

参照:ファイザー株式会社

ペアライフクリニックの見解

ステルイズ

ステルイズは、早期梅毒の場合、1回の筋肉注射で治療を完了できるため、患者様からも選ばれている治療方法です。

しかし、現在はステルイズの安定した供給が見込めないことから、当院ではアモキシシリン(内服薬)による治療をご案内しています。

また、ステルイズによる治療が完全にできなくなったわけではありません。ステルイズでの治療を希望される方は、お気軽に当院までお問い合わせください。

参考文献

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