【2026年5月|2週目】性病のレポート
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- Doxy PEP for Bacterial STI Prevention|CDC
- Use of Pristinamycin for Macrolide-Resistant M.genitalium|CDC EID Journal
- EMA Recommends Lenacapavir Injectable PrEP|Contagion Live
- PEPFAR and Global Fund Invest in Lenacapavir|Gilead
- FDA Approves Two Oral Therapies to Treat Gonorrhea|FDA
- FDA approves first new kind of drug for gonorrhea|STAT News
- TMVII King County Health Advisory|King County Public Health
- A New STI is Spreading in the U.S.(TMvii)|Duke Global Health
性感染性真菌「TMvii」が米国Minnesotaで30例超
TMVII(Trichophyton mentagrophytes genotype VII)による性感染性の真菌症が、現在アメリカで拡大しています。Minnesota州保健局は、2025年7月以降に30例以上の感染を確認しており、これは全米で最大規模のクラスターとされています。また、Centers for Disease Control and Prevention(CDC)や、サンフランシスコ市、ワシントン州キング郡も注意喚起を行っています。
主な症状は、陰部・臀部・体幹などに現れる、輪状で強い痒みを伴う皮疹です。湿疹などと誤認されやすく、診断までに時間を要するケースも報告されています。
治療には、テルビナフィンなどの経口抗真菌薬を使用しますが、改善までに数週間〜数ヶ月かかる場合があります。
現時点で日本国内での報告は確認されていません。しかし、海外渡航者や訪日外国人の増加に伴い、今後の国内流入について注意深い監視が必要とされています。
ペアライフクリニックの見解
【2026年4月|2週目】のレポートでもお伝えした「TMVII」ですが、現在アメリカでは、MSM(男性間性交渉者)を中心に感染者数が増加傾向にあります。
現時点では、当院に「TMVII」の感染が疑われる患者様の受診は確認されておりません。TMVIIは、陰部や臀部、体幹などに強い痒みを伴う輪状の皮疹が出現することが特徴で、湿疹などと誤認され診断が遅れるケースも報告されています。今後の国内動向についても、引き続き注視してまいります。
米FDA、淋菌感染症に対する新規経口抗菌薬を承認
米FDAは、成人および12歳以上の小児における単純性尿路性淋菌感染症に対し、新規経口抗菌薬「NUZOLVENCE®(zoliflodacin)」を承認しました。1回の内服で治療可能な世界初の経口単回投与薬であり、薬剤耐性淋菌にも効果が期待されています。第III相試験では、既存治療であるセフトリアキソンとアジスロマイシンに対して非劣性を示しました。一方で、妊婦への影響やアレルギー反応などには注意が必要とされています。
ペアライフクリニックの見解

上のグラフは、2026年4月におけるペアライフクリニックの淋菌感染症の治療件数をまとめたものです。ペアライフクリニックでは、淋菌に対する第1選択薬としてセフトリアキソン(点滴)、第2選択薬としてトロビシン(筋肉注射)を使用し治療を行っております。
一方で、点滴や筋肉注射に対して不安や抵抗感を抱く患者様も一定数いらっしゃいます。そのため、今回FDAで承認された「zoliflodacin」のように、1回の内服で治療が可能な経口抗菌薬が普及することで、淋菌治療の選択肢はさらに広がる可能性があります。今後、患者様の身体的・心理的負担を軽減しながら治療を行える新たな選択肢として期待されています。
HIV予防注射「レナカパビル」承認拡大
低価格ジェネリック供給へ
YEZTUGO(一般名:lenacapavir)は、HIV感染予防(PrEP)を目的として開発された長時間作用型の注射薬です。6か月に1回の皮下注射でHIV感染リスクを低下させることができる世界初のPrEP製剤として、米FDAに承認されています。
これまでのPrEPは毎日の内服が必要でしたが、YEZTUGOは半年に1回の投与で予防効果を維持できる点が大きな特徴です。
第III相試験(PURPOSE 1・2試験)では、高いHIV予防効果が報告されており、多くの被験者でHIV感染を防止しました。
一方で、YEZTUGOはHIV感染を予防する薬であり、HIV感染後の治療薬ではありません。そのため、投与前にはHIV陰性であることを確認し、投与中も定期的なHIV検査を行う必要があります。主な副作用としては、注射部位のしこりや発赤、腫れ、頭痛、悪心などが報告されています。
ペアライフクリニックの見解
| 2026年2月 | 2026年3月 | 2026年4月 | |
|---|---|---|---|
| HIV PrEP | 62 | 64 | 78 |
| HIV PEP | 63 | 66 | 84 |
上のグラフは、ペアライフクリニックにおけるHIV予防薬(PrEP)の処方実績をまとめたものです。年々処方数が増加していることから、HIV予防薬に対する認知や関心が広がっていることがわかります。
現在、主流となっているHIV PrEPは、毎日継続して服用することでHIV感染リスクを低下させる予防薬です。一方で、「毎日の服用が負担になる」「飲み忘れてしまう」といった課題を感じる方も一定数いらっしゃいます。
そのような中、近年では年2回の注射で高いHIV予防効果が期待される長時間作用型製剤も登場しています。海外の臨床試験では、HIV感染リスクを約99%低下させたと報告されており、今後はより手軽にHIV予防を行える時代になる可能性があります。
現時点では日本国内での承認は未定ですが、今後承認・普及が進むことで、HIV感染者数のさらなる減少につながることが期待されております。
ドキシペップの有効性継続
M.genitaliumへの耐性懸念は今後の論点
米国CDCは、2024年6月に発表したDoxy-PEP(ドキシペップ)ガイドラインを、2026年5月時点でも継続して有効な指針として位置付けています。
Doxy-PEPとは、性交渉後72時間以内にドキシサイクリン200mgを内服することで、性感染症の発症リスクを低下させる予防戦略です。CDCは、直近12か月以内に梅毒・クラミジア・淋菌などの細菌性性感染症の診断歴があるMSM(男性間性交渉者)およびトランスジェンダー女性に対して、この予防法を推奨しています。
これまでの臨床試験では、Doxy-PEPにより梅毒やクラミジアを70%以上、淋菌を約50%減少させる効果が報告されています。
一方で、抗菌薬を予防目的で継続的に使用することによる薬剤耐性化への懸念も指摘されており、特にMycoplasma genitalium(M.genitalium)の耐性菌増加リスクについては、現在も議論が続いています。
ペアライフクリニックの見解
| 2026年2月 | 2026年3月 | 2026年4月 | |
|---|---|---|---|
| ドキシペップ | 595 | 649 | 715 |
上のグラフは、ペアライフクリニックにおけるDoxy-PEP(ドキシペップ)の処方数をまとめたものです。2026年2月と2026年4月を比較すると、処方数は120件増加しており、HIV予防薬(PrEP)と同様に、性感染症予防に対する認知が広がっていることがうかがえます。
しかし、近年ではDoxy-PEPの使用拡大に伴い、Mycoplasma genitalium(マイコプラズマ・ジェニタリウム)の薬剤耐性化が懸念されています。マイコプラズマ・ジェニタリウムの治療では、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)を使用することが多いため、ドキシサイクリン耐性菌が増加すると治療が困難になる可能性があります。
また、Doxy-PEPは梅毒・淋菌・クラミジアの予防効果が期待される一方で、マイコプラズマ・ジェニタリウムを予防することはできません。そのため、Doxy-PEPを服用している方は、梅毒・淋菌・クラミジアに加え、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査も定期的に受けることが重要と考えられます。