クラミジアの感染率について
クラミジアの感染確率
クラミジア感染症は「クラミジア・トラコマティス」という細菌が原因で起こる性感染症です。この細菌は粘膜の接触によって感染しやすく、特に性行(膣性交、肛門性交、オーラルセックス)を介して広がります。
1度の性行為でクラミジアに感染する確率は約30%〜50%とされており、非常に感染力の高い性感染症のひとつです。厚生労働省の集計データによると毎年2万人の感染者が報告されていますがこの数値はあくまで報告された数字であり、実際には症状がないまま気づかず過ごしている未受診の感染者もいます。
当院では、2024年5月1日から2025年5月31日までの1年間に、18,069人の方がクラミジア検査を受診されました。そのうち2,909人(約16.1%)が陽性と診断されています。これは、およそ6人に1人の割合で感染が確認された計算となり、クラミジア感染症が決して他人事ではないという事実を示しています。
当院は性感染症専門のクリニックのため来院される患者様の多くは性感染症に感染しているまたは不安がある方が多いため必然的にクラミジアの陽性者の割合が高くなります。疾病予防管理センター(CDC)のデータによると女性の20人に1人はクラミジアに感染しているというデータが報告されております。性器クラミジア感染症は、無症状のまま進行することもあるため、現在公表されているデータの割合以上にクラミジアに感染している方が多いと考えられます。自覚症状がないからといって感染していないとは限りません。そのため少しでも不安な方は検査を受けることを推奨します。
目次
行為ごとのクラミジア感染率
クラミジアの感染は国内でもっとも多いとされております。特に10代後半〜20代の若年層を中心に広がっており、性感染症の中でも感染者数は群を抜いて多い病気です。その大きな理由としてクラミジアは他の性感染症より症状がでにくく、自覚症状がないまま感染が広がりやすいことが特徴として挙げられます。
セックス(膣性交)
クラミジア感染症は、セックスによって高い確率で感染する性感染症の一つです。セックスによる感染確率は約30〜50%とされており、わずか1回の性交渉でも感染するリスクがあることが示されています。
本疾患の特徴として、感染していても自覚症状が現れにくい点が挙げられます。実際に、女性では約80%、男性でも約50%が無症候性で経過すると報告されています。このため、自身が感染していることに気づかないまま、無意識のうちにパートナーへ感染を広げてしまうケースも少なくありません。
フェラチオ
フェラチオ(口を使った性行為)は、クラミジア感染の経路のひとつとされています。正確な感染確率は明らかになっていませんが、性器クラミジアが確認された方のうち、およそ10〜20%の人に咽頭(のど)への感染も見られるという報告があります。
このことから、オーラルセックスによって口からクラミジアに感染する可能性があると考えられており、咽頭クラミジアも注意すべき感染部位のひとつです。
クンニ
クンニリングス(女性器へのオーラルセックス)を通じたクラミジア感染の確率は正確には分かっていませんが、感染経路の一つであることは明らかです。
特に、クラミジア感染者の割合は女性の方が男性より高い傾向があるため、女性に対してオーラルセックスを行う際にも感染リスクを伴う行為であると理解することが重要です。
キス
唇が軽く触れる程度のキスでは、感染するリスクはほとんどありません。しかし、ディープキスなど粘膜同士が接触する場合は、クラミジア・トラコモティスが咽頭へ感染する可能性が高くなります。
特に、相手が咽頭クラミジアに感染していた場合、唾液や粘膜を介して細菌が移るリスクが高くなるため注意が必要です。また、咽頭クラミジアは自覚症状がないことが多く「のどが少し痛い」「風邪っぽい」と言った軽い症状で見逃されがちです。そのため、自分では気づかないうつにパートナーに感染を広げてしまうケースも少なくありません。
母子感染
クラミジアに感染している妊婦が治療を受けないまま出産した場合、出産時に赤ちゃんへ感染するリスクが非常に高くなります。具体的には出産時にクラミジアに感染した産道を通ることで、胎児が感染する確率は50%〜70%程度とされています。つまり、治療を受けずに自然分泌をした場合、2人に1人以上の赤ちゃんが感染してしまう可能性があります。
感染した新生児のうち約25%〜50%はクラミジア性結膜炎を発症するとさせており、これは目に感染したことによる炎症です。症状としては、生後数日〜数週間以内に目やに、結膜の赤み・腫れなどが見られます。最適な治療を受けなければ視力障害につながることもあります。
また、約5%~20%はクラミジアによる肺炎を発症するリスクがあります。生後数週間以内に咳、呼吸困難、発熱などを引き起こすことがあります。クラミジア性肺炎は進行がゆっくりで初期には症状が目立たないことも多いため、発見が遅れることも少ないくありません。
淋菌とクラミジアの感染率
淋菌とクラミジアはどちらも日本で多く見られる性感染症ですが、感染者数の多さから見るとクラミジアの方が感染率が高いと言えます。
実際に、厚生労働省のデータ(令和5年)によると、淋菌の感染者数が9,674人に対してクラミジアの感染者数は31,270人となっており、クラミジアは淋菌の約3倍となっております。このうようにクラミジアは自覚症状が少なく気づかれにくいため、感染が広がっています。特に若年層を中心に注意が必要です。
クラミジア感染確率を下げる方法
クラミジアの感染率を下げるためには、いくつかの効果的な方法があります。まず大切なのは、コンドームを正しく使用することです。コンドームは性感染症の予防に有効ですが、使用方法を誤るとその効果は大きく下がってしまいます。性交の最初から最後まで着用し、毎回新しいものを使うなど、基本的なルールを守ることが重要です。
次に、不特定多数との性的接触を避けることも大切です。クラミジアは見た目では感染の有無がわからないため、パートナーの数が増えるほど感染リスクが高まります。信頼できる相手との関係を築くこと、そして定期的に検査を受けることが、自分と相手を守る行動になります。
さらに、ドキシペップ(ドキシサイクリンの予防内服)という方法もあります。これは、性交後に抗生物質を服用することで感染を予防する手段で、特に感染リスクの高い人に対して効果があるとされています。ただし、薬の使用には副作用や耐性菌の問題もあるため、必ず医師の指導のもとで適切に行う必要があります。
コンドームを正しく使用する
コンドームは避妊だけではなく性感染症の予防にも効果があります。コンドームは市販で購入することができ、正しく使用することで感染のリスクが大幅に下げることができるため、もっとも手軽な予防策と言えると思います。
しかし、コンドームを使用すれば100%感染を予防することができるわけではありません。クラミジアは皮膚と粘膜が触れるだけでも感染する可能性があります。そのため、性行為の種類によってはコンドームでは完全に防ぎきれないケースもあります。
不特定多数の人と性行為を避ける
近年の日本では、性感染症の患者数が増加傾向にあります。その背景には、SNSやマッチングアプリの普及により、不特定多数の人と簡単に出会うことが原因として考えらられます。
また、性感染症の中には、クラミジアや梅毒のように無症状でも感染しているケースが多い病気があります。自覚がないまま他人へ感染を広げてしまう可能性があるため注意が必要です。だからこそ信頼のできる特定のパートナーと性行為を行うことが重要です。
ドキシペップを服用する
ドキシペップは、性感染症の曝露後予防法として注目されている内服薬です。性行為後72時間以内に抗菌薬ドキシサイクルを1回服用することで性感染症の感染リスクを低下させることが臨床研究により報告されている。ドキシペップはクラミジアの感染率を80%低減させることができます。性行為の後に適切なタイミングで服用することで、高い予防効果が期待できます。
クラミジアの感染者推移
クラミジア感染は減少傾向にあると思われがちですが実際には年間3万人以上の感染が報告されております。
さらに、近年ではマッチングアプリやSNSの普及により、これまでの接点のなかった人同士が簡単に出会えるようになったことで、性的接触の機会が増加し、性感染症の感染リスクが高まっていると考えます。
クラミジアは10代〜30代の若年層を中心に見られる感染症で、特に自覚症状がほとんどないまま進行するケースが多く。感染に気づかずパートナーにうつしてしまうことがあります。感染拡大させないためにも予防と早期発見に努めることが重要です。
ペアライフクリニックは予約不要で
ご来院いただけます

「感染行為を行いすぐにでも検査を受けたい方
「先の予定がたてにくく予約を取ることが難しい方」
「性感染症に該当する症状を発症しているが誰にも相談できない方」など
性感染症は誰にも感染するリスクがあるのにも関わらず受診しずらい感染症だからこそ予約不要で手軽にご来院いただける体制を整えています。検査を受けたその日に検査結果がわかり、陽性だった場合には当日に治療を開始することができます。
また、性感染症・感染症学会に所属している医師が常駐しております。ご不安なことがありましたらお気軽にご相談くださいませ。
クラミジアの感染率について よくある質問
A.
一般的には女性の方が感染しやすいとされています。特に10代〜20代前半の女性は子宮頸部の免疫が未熟なため、感染リスクが高い傾向にあります。
A.
クラミジアは何度でも再感染する可能性があります。治療が終わったあとでも再び感染している皮膚、粘膜と接触することで再発します。
A.
クラミジアの方が感染する可能性が高いと思います。淋菌の感染者数は年間9,674人に対してクラミジアの感染者数は31,270人とクラミジアの感染者数は約3倍多いためクラミジアに感染する可能性の方が高いと思います。
A.
無症状でもクラミジアに感染している可能性はあります。初期感染の場合、約8割の方が無症状と言われています。