Herpes 性器ヘルペス

目次
性器ヘルペスとは

性器ヘルペスは単純へルぺスウイルス (HSV:Herpes Simplex Virus )の感染によって性器やその周辺に水疱(水の溜まったブツブツ)や潰瘍(皮膚のえぐれ)が出来る病気です。
単純へルぺスウイルスには1型と2型がありますが、性器ヘルペスは主に性器周辺に存在する2型が性行為によって伝播することで感染します。 また、口唇ヘルペスの原因となる1型も唾液中にHSVが排出されている場合には、口唇性交によって性器への感染を起こします。
HSV‐1型・2型ともに、性器に同様の症状を引き起こします。ただし、再発や重症化を引き起こしやすいのはHSV‐2型です。ウイルスは体の中に終生存在することとなり、体力が落ちたり免疫力が下がった際に活発的に活動し再発を繰り返します。
性器ヘルペスの感染者数
性器ヘルペスは全国1000弱の定点医療機関で感染者数が報告、集計されており、2021年には合計 8981人、一医療機関当たり9.14人の感染者が報告されています。全体としては、性器ヘルペスの1年間の症例数は男22,000人、女52,000人の計74,000人と言われています。
感染者は20~30歳代が25%前後と最も多く、男性よりも女性に多いです。また、初感染例はHSV-1型によるものが70%と言われています。感染者数はここ数年おおむね横ばいですが、新規感染者で症状を示すのは10~30%にすぎないため、無症状での罹患者数を含めると性器ヘルペスの感染者数は計り知れません
性器ヘルペスの感染経路
性器ヘルペスは基本的にセックス(膣性行)やオーラルセックス(フェラチオ・クンニ)により感染する病気です。しかし、ヘルペスウイルスが付着したタオルや食器、便座経由など、性行為以外から感染することも稀にあります。 加えて、性器ヘルペスは感染していても症状が出ないケースもあります。
感染源と考えられる性交渉のパートナーの70%は症状がない状態での性器ヘルペス(HSV)排泄と言われています。症状があるときは、さらに感染力が強いので、家族内での感染にも気をつけましょう。また、分娩時に粘膜面からのHSVウイルス排泄で母子感染し、新生児に重篤な後遺症をもたらす可能性があるため、性器ヘルペスに感染していることを把握しておくことは重要です。
ヘルペスに感染する部位
- 男性器
- 女性器
- のど
- 口
- 肛門
- 臀部
- 大腿部などの皮膚
- 神経や脳
ヘルペスウイルスは性器だけでなく、口やのど肛門などにも感染します。感染後は神経が潜伏部位となります。
ヘルペスに感染する行為
- セックス(膣性交)
- フェラチオ
- クンニ
- アナルセックス
- キス
前述の通り、性行為以外でも感染する可能性があります。オーラルセックスなどの性行為でも予防をしましょう。
性器ヘルペスは再発する
ヘルペスウィルスは症状が治まった後も体内からいなくならず、腰仙髄神経節などに潜伏します。そのため風邪や過労、精神的ストレスなどで抵抗力が弱ったり、性器に刺激が加わった時に再発することがあります。性器ヘルペス患者の6~7割は再発例であると言われています。
性器ヘルペスの症状
性器周辺に水疱ができた後に、破れて潰瘍ができるのは共通ですが、ウイルスに初感染した場合と、再活性化した場合とでは、症状の重さが異なります。
性器ヘルペスの感染で特徴的なことは、初感染の場合は症状が重く、広範囲に水ぶくれ・ただれを生じたり、発熱などの全身症状も伴います。再発の場合は症状が軽く、自覚症状に欠ける場合は感染に気づかないこともあり、他者への感染リスクが高くなります。
HIVなどの免疫抑制者は、免疫正常者よりも感染期間が長く、症状が重く、再活性化の頻度も高いことが知られています。疲れているときや生理前後の女性、高齢者も要注意です。症状としては、男女とも共通して「痛痒い」という表現がよく当てはまります。
男性器の主な症状

- 発熱、頭痛、倦怠感
- 筋肉痛
- 脚の付け根の痛み・しこり
- 亀頭や包皮・陰嚢を取り巻く水ぶくれ
- 水ぶくれの融合・浅いただれ
初回の感染は症状が重くなります。痛みにより動けないこともあります。
女性の主な症状

- 発熱、頭痛、倦怠感
- 筋肉痛
- ヒリヒリ感・うずく感じ
- 熱っぽさ・違和感
- シャワーでの痛み
- 陰部の水ぶくれ・ただれ
- 排尿時の痛み
- 排尿できない
- 頻尿
- 膀胱炎のような症状
- 脚の付け根の痛み・しこり
女性も男性同様に初期感染では強い痛みを感じる場合が多くあります。
性器ヘルペスの症状は、局部症状は梅毒やカンジダ性亀頭包皮炎などとの鑑別が難しいことがあります。全身症状が伴えば、HIV・B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性疾患も否定できません。性器ヘルペスの検査に加えて、血液検査も行うとより安心できます。
性器ヘルペスの検査方法

性器ヘルペスの検査は、主に医師が診て判断する「視診」となります。性器ヘルペスの特徴である水疱などの症状を見て、判断いたします。
当院では、ヘルペスウイルスの抗原検査キットを用いて症状が出ている箇所を拭い、ヘルペスウイルスの検出をすることも可能です。
性器ヘルペスの治療方法

初回の発症時は、しっかりと治療を行うことで体内のウイルス量を減らし、その後の再発を減らせるという報告があります。早期にしっかりと治療をすることが重要です。
当院では「バラシクロビル」という内服薬での治療を行っております。女性では膣や子宮にも病変ができることがあり、塗り薬での治療は推奨されておりませんが、再発の場合にはより効果の高いとされる飲み薬の使用を推奨しております。
<バラシクロビル500mg>
費用 :4,980円
用法・用量:通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。
副作用:頭痛、めまい、吐き気、下痢、発疹、精神症状、肝障害、腎障害など
内服薬を処方する理由
内服薬には複数種類がありますが、いずれも完全にウイルスを排除できるものではなく、症状を和らげ、回復するまでの期間を短くします。治療に関してはなるべく早くに開始することが重要とされ、症状が現れてから数時間以内、できれば最初にピリピリ感や不快感が現れてすぐ、まだ水疱が現れないうちに始めるのが効果的です。
性器ヘルペスと帯状疱疹
性器ヘルペスと診断されて内服薬を処方されてもなかなか治らないことがあります。このように症状が強いときは、帯状疱疹のことがあります。帯状疱疹は、子供の頃に水痘(水ぼうそう)を引き起こすウイルスで、同じヘルペスウイルス科に属しますが、HSV-1型・2型とは別のウイルスです。治療は同じ内服薬ですが、投与量や投与期間が異なります。
性器ヘルペスの料金・プラン
性器ヘルペスに感染している方は、淋菌・クラミジア・梅毒など他性感染症も発症している可能性が高いため、セットプランもご用意しております。症状や既往歴などをもとに検査プランをご提案いたしますので、お困りの方は一度当院にご来院ください。
- 性器ヘルペス検査(視診)
- 3,980
- ヘルペス抗原検査
- 9,800
- ヘルペス治療
- 4,980
- フルチェック
- 24,800
- パーフェクトチェック
- 39,800
性器ヘルペスの予防方法
性器ヘルペスは性交時の口腔や性器同士の接触で感染するため、コンドームを使用し感染予防することをおすすめいたします。明らかな水疱や痛みなどの症状がなくても、ウイルスは性器の表面に存在していることがあり、他人へ感染する可能性があります。
また、ウイルス病変が肛門・臀部・大腿部などにも起こるため、感染をゼロにすることは難しいと言われています。少しでも不安な症状がある方は、大切なパートナーの方と一緒に早期検査を実施されることをおすすめいたします。
Herpes FAQ 性器ヘルペスのよくあるご質問
A.
初めて感染する患者さまは2〜4週間で自然に治るケースが多いです。ただし、性器ヘルペスは一度でも感染が成立すれば生涯に渡って感染が定着し、免疫状態に応じて再発を繰り返します。
A.
ご本人にも感染の可能性があります。特に有症状のときは感染力が強いです。性器ヘルペスは症状が出てからの検査〜治療となりますのでパートナーが治療を完了するまで性行為はお控えください。
A.
治療中の性行為はお控えください。治療が完了し、症状がなくなったタイミングで改めて治癒確認のためご来院ください。
A.
いいえ。性器ヘルペスは再発リスクが高い感染症です。現在、ウイルスを完全に排除する治療法は確立されておりません。
A.
主な副作用として、腹痛、下痢、腹部不快感、吐き気、頭痛、腎障害などが報告されています。特に腎障害に関しては重要なので投与量に応じて腎機能を検査します。少しでも違和感がありましたら当院にご相談ください。
A.
性器ヘルペスは遺伝する感染症ではありません。ですが、妊娠後期から出産時にはヘルペスウイルスの存在する産道を胎児が通るため、新生児ヘルペスになるリスクがもっとも高くなります。
A.
視診もしくは病変ぬぐいにより検査可能です。
医師による視診のもとヘルペスと特定できた場合、そのままお薬を処方いたします。また病変ぬぐいの場合、症状が強い時期であれば水ぶくれや潰瘍から分泌物を採取し、単純ヘルペスウイルス1型と2型の有無を検査します。病変ぬぐいで陽性を得れば、確定診断となります。
A.
感染する可能性があります。基本的に性行為、オーラルセックスによって感染しますが、とくに有症状時は感染力がとても強いため、お風呂やトイレ、コップや箸の共用などでの感染にも気を付けましょう。