梅毒は、感染後すぐに症状が出てくるのではなくある程度の潜伏期間を要するといわれています。
潜伏期間中に梅毒の感染を確認できれば早期発見につながり、早期に治療が可能です。本記事では梅毒の潜伏期間について詳しく解説します。
また、自然治癒ができるのかどうかについても解説していきます。
梅毒の潜伏期間
梅毒の潜伏期間は感染から3週間前後であり、3週間ほど経過してから梅毒特有の初期硬結や潰瘍、硬性下疳などの症状が見られます。感染してから1年未満のこの時期は早期顕性梅毒Ⅰ期と呼ばれています。
また、梅毒は早期顕性梅毒Ⅰ期~早期顕性梅毒Ⅱ期の間に一旦症状が消失します。しかし、この間も症状が消失したのみで、梅毒の菌は潜伏している状態です。この期間のことを潜伏梅毒と呼びます。
症状は出ていないものの、菌は潜伏しているので、人に感染させる可能性はじゅうぶんにあります。
感染から1年経過した後期潜伏梅毒では感染力がなくなっているため、つまり、梅毒は感染してから1年程度は菌が潜伏していると考えておくとよいでしょう。
梅毒は放置していても自然治癒しない
残念ながら梅毒は自然治癒が見込めません。
梅毒は、早期顕性梅毒Ⅰ期~早期顕性梅毒Ⅱ期の間に一旦症状がなくなるため、このタイミングで自然治癒したと思われる方もいます。しかし、あくまで症状が消失したのみで、この後再び症状が出現します。
早期顕性梅毒のうちに治療をしておけば、早期に改善が見込めますが、このタイミングで完治したと勘違いして放置すると、治療が長期化したり、状態が悪化したりといったリスクが高まります。
自然治癒はしないという点を念頭に置き、梅毒感染の可能性が疑われたら早めに検査、治療を受けましょう。
梅毒の治療はペニシリン系とセフェム系の抗生物質を使用しますが、使用する薬剤や使用期間については医師が検査をしたうえで決定します。
梅毒の潜伏期間中の検査について
梅毒の基本的な検査は、症状を医師が直接症状が出た部位をチェックする視診にくわえて、病原体の検査と採血がおこなわれます。
しかし、梅毒の潜伏期間は長いため症状が出ていないこともあります。症状が出ていなかった場合には症状を見て確認する視診と症状の出た部分の細胞を採って機械で検査する病原体検査はできません。
血液検査では梅毒の菌に対する抗体の値が高くなっているかをチェックします。血液検査の場合では潜伏期間であっても、抗体が高くなるので、感染しているかどうかを確認できるでしょう。
梅毒の潜伏期間中の感染について
梅毒の潜伏期間中は人に感染させる可能性が極めて高いです。とくに、感染から3ヶ月程度にあたる早期顕性梅毒Ⅰ期は人に感染させる可能性が最も高いため、性行為など梅毒感染原因となる行為は行わないようにしましょう。
症状が消失していても、梅毒感染から1年程度は感染力が高いです。症状が消失したから大丈夫とは思わず、人に感染させるリスクを考慮する必要があります。
また、潜伏期間中は症状が出ていないこともあり、自身が梅毒に感染しているかどうかが分からないこともあります。
梅毒はコンドームで予防できます。症状は出ていないけれど梅毒に感染している可能性が否定できない場合には、コンドームを装着して性行為をするのがベストです。
梅毒の潜伏期間まとめ
梅毒の潜伏期間は症状が出るまで3ヶ月程度、そして症状が出た後も1年程度は梅毒の原因となる梅毒トレポネーマという菌が潜伏しており、ひじょうに潜伏期間が長い点が特徴です。
梅毒は一旦症状が消失する期間があり、そのタイミングで治ったと思う方もいるかもしれません。しかし、梅毒は自然治癒しないため、治療無しで治ることはありません。
自然治癒はしないということを頭に入れたうえで、症状が出ている方、あるいは症状は出ていないけれど感染している可能性があるという方は、検査、治療を受けましょう。
早期に治療をすれば、治療期間も短くて済み、後遺症を残さずに改善できるでしょう。