【2026年10月3週目】性病のトピックス

治療薬の供給維持と現場の臨床診断支援

米国では、梅毒の標準治療薬である「Bicillin L-A®」について、FDA(米国食品医薬品局)の承認に基づき、特定の製造ロットの使用期限が延長されました。この薬は、梅毒の治療に用いられ、特に妊婦の治療や胎児への感染による先天性梅毒の予防に重要な役割を果たしています。

米国では同薬の供給不足が課題となっており、今回の対応は、使用可能な薬剤を確保し、治療の中断や遅れを防ぐことを目的としています。CDC(米国疾病予防管理センター)も関連する診療指針を更新し、医療現場で適切な治療を継続できるよう対応しています。

参照:ECDC

ペアライフクリニックの見解

ペアライフクリニックの
アモキシシリンによる梅毒の治療じっせき
2026年のペアライフクリニックの実績数

上のグラフは、ペアライフクリニックにおけるアモキシシリンを用いた梅毒の治療実績を示しています。当院では、梅毒の治療にステルイズを第一選択薬としておりますが、製造上の制限による供給状況を踏まえ、現在はアモキシシリンによる治療を行っています。今後も薬剤の供給状況を注視しながら、患者様の状態に応じた適切な治療を提供してまいります。

多剤耐性(AMR)の脅威と適正使用の推進

欧州疾病予防管理センター(ECDC)の公式ポッドキャスト「Risk Wire」では、欧州で淋菌感染症の報告数が過去最高水準に達していることや、治療に重要な抗菌薬であるセフトリアキソンに耐性を持つ淋菌の拡大が懸念されていることが取り上げられました。

薬剤耐性菌が広がると、これまで有効だった薬が効きにくくなり、治療が難しくなる可能性があります。ECDCは、こうした菌の広がりを早期に把握するため、各国に対して、細菌の遺伝情報を詳しく調べる全ゲノム解析などを活用した監視体制の強化を促しています。

セフトリアキソンについて→

ペアライフクリニックの見解

セフトリアキソンに耐性株をもった淋菌が増加している

これまで淋菌感染症は、セフトリアキソンによる治療で高い治療効果が期待されていました。しかし、欧州疾病予防管理センター(ECDC)では、セフトリアキソンに耐性を持つ淋菌の拡大が懸念されています。

薬剤耐性菌が広がると、治療が難しくなる可能性があるため、感染予防が重要です。性行為の際にコンドームを使用する、不特定多数との性行為を避けるといった対策に加え、医師に相談のうえでドキシペップ(Doxy-PEP)などの予防策を検討することも大切です。

国内の大都市圏では梅毒の流行が続く

東京都感染症情報センターや神奈川県衛生研究所の最新の週報では、梅毒の新たな感染報告や、過去の週にさかのぼる追加報告が続いていることが示されています。2026年上半期の全国の報告数は5,892件で、前年同期と比べて約17.8%減少したとされています。

一方、東京都や神奈川県などの大都市圏では、依然として感染への注意が必要な状況が続いています。梅毒は初期症状が目立たない場合もあるため、感染の可能性がある場合は、症状の有無にかかわらず検査を受け、早期発見・早期治療につなげることが重要です。

ペアライフクリニックの見解

ペアライフクリニックで梅毒と診断したかたの数
2026年のペアライフクリニックの実績数

上のグラフは、2026年にペアライフクリニックで梅毒と診断された方の人数を示しています。診断者数は6月をピークに減少傾向にあります。この背景には、厚生労働省などによる予防啓発や、個人の感染予防に対する意識の高まりが影響している可能性があります。

ただし、診断者数の減少が感染者数全体の減少を直接示すとは限らないため、引き続き感染動向を注視する必要があります。感染の可能性がある場合は、症状の有無にかかわらず検査を受け、早期発見・早期治療につなげることが重要です。

参考文献

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