【2026年5月|3週目】性病のトピックス

梅毒2026年Q1確定速報|減少基調も母子感染リスク不変

国立健康危機管理研究機構(JIHS)が公表した2026年Q1(2025年12月29日〜2026年3月29日)の梅毒届出データによると、女性異性間感染105例、男性異性間感染100例、男性同性間感染22例の計227例が報告されました。

また、妊娠中の梅毒感染例は8例、先天梅毒は1例が確認されており、2026年も母子感染リスクが継続している状況が示されています。

2025年通年では、梅毒全体の届出数は前年比で減少傾向となった一方で、妊娠例は59例、先天梅毒は7例が報告されており、2024年の妊娠57例・先天梅毒9例と並び、1999年以降で極めて高い水準となっています。

このように、全体の感染者数が減少傾向にあっても、妊娠中の感染や先天梅毒の絶対数は高止まりしており、胎児への母子感染リスクは依然として深刻な公衆衛生上の課題となっています。妊娠を希望している方や妊娠中の方は、早期の梅毒検査と適切な治療を受けることが重要です。

参照:国立健康危機管理研究機構

ペアライフクリニックの見解

ペアライフクリニックの見解
ペアライフクリニックの実績数

上のグラフは、ペアライフクリニックにおける2026年1月〜2026年4月までの梅毒陽性者数をまとめたものです。グラフを見ると、特に名古屋院と大阪梅田院で陽性者数が多く、他院と比較して突出していることがわかります。

都市部では人の往来や接触機会が多いことから、性感染症の感染拡大リスクが高まりやすい傾向があります。実際に全国的にも梅毒の感染報告は継続しており、若年層を中心に感染が広がっている状況です。

また、症状が軽微で気づかないまま感染が進行するケースもあるため、少しでも不安な行為や症状があった場合には、早めに検査を受けることが重要です。

Doxy-PEP|国内自費メニュー化が本格化

国内の一部性感染症内科クリニックでは、2026年4月7日付でDoxy-PEP(ドキシペップ)の処方価格引き下げが行われ、日本でもMSMやTGWを中心に自費診療として導入が進んでいます。Doxy-PEPは、性交渉後72時間以内にドキシサイクリン200mgを服用することで、梅毒やクラミジアなど細菌性性感染症の予防を目的とした方法です。

現在は、CDCが2024年に公表したガイドライン(MMWR Vol.73 No.2)が実質的な国際基準となっており、WHOも2026年2月公開の「STI統合運用ハンドブック」で公式実装ガイダンス対象に位置付けました。さらに、日本性感染症学会ガイドライン2026にもPrEP/PEPの新章が収載されており、日本国内でも導入の根拠や診療体制が整いつつあります。

参照:CDC

ペアライフクリニックの見解

来院者数予防薬を目的とした
来院者数
2025年4月2,391143
2026年4月7,776817

上の図は、ペアライフクリニックにおける総来院者数と、Doxy-PEP(ドキシペップ)を目的として来院した患者数をまとめたものです。2025年4月では、ドキシペップ目的の来院者数は全体の5.98%でしたが、2026年4月には10.51%まで増加しています。

この結果から、1年間でドキシペップを目的とした受診割合が大きく上昇しており、性感染症予防に対する意識の高まりとともに、Doxy-PEPの認知が国内でも拡大していることがわかります。

近年は、CDCやWHO、日本性感染症学会などがDoxy-PEPに関する指針を整備していることもあり、予防医療の選択肢として注目が高まっています。特に梅毒感染者数が高止まりしている現状から、感染リスクに応じた予防行動への関心が強まっていると考えられます。

Lenacapavir(Yeztugo)グローバル展開継続

Gilead Sciencesが開発した半年に1回投与型のPrEP(HIV予防薬)「Yeztugo(レナカパビル)」は、2025年6月に米国FDAで承認され、その後EMA(欧州医薬品庁)でも推奨、南アフリカSAHPRAでも承認されるなど、世界的に導入が進んでいます。また、CDCはMMWR第74巻35号(2025年)で正式な臨床推奨を発出しており、次世代PrEPとして注目を集めています。

臨床試験では高い予防効果が報告されており、「PURPOSE 1」では女性2,134例でHIV感染ゼロ、「PURPOSE 2」では2,179例において99.9%の感染予防効果が示されました。

さらに、Bill & Melinda Gates FoundationとUnitaidは、2025年9月にジェネリック製薬企業2社と提携し、2027年から約120カ国に対して年間40ドル/人で供給する計画を発表しています。

一方、日本国内では現時点で未承認となっているものの、HIV予防ニーズの高まりを背景に、自費診療領域を中心に先行需要を取り込むフェーズへ入りつつあります。

参照:Gilead

ペアライフクリニックの見解

ペアライフクリニックの見解

現在のHIV予防には、曝露後予防内服であるHIV PEPと、日常的に服用することで感染予防を行うHIV PrEPがあります。特にPrEPは、継続して服用することで高いHIV予防効果が期待されています。一方で、毎日の服用継続が必要となるため、飲み忘れによって予防効果が低下する可能性があります。そのため、今後は長期作用型製剤やワクチンなど、より継続しやすい予防法への期待が高まっています。

また、HIV治療の進歩によって、現在では適切な治療を継続することで生命予後は大きく改善しており、「死に至る病」という認識は以前より薄れつつあります。その影響もあり、コンドームを使用しない性行為が増加している可能性が指摘されています。

しかし、PrEPはHIV予防には有効である一方、梅毒淋菌クラミジアなど他の性感染症を予防することはできません。そのため、HIV予防の普及と並行して、これら細菌性性感染症の感染拡大リスクが高まる可能性も考えられています。

参考文献

全国の
クリニック
事前来院受付