調査レポート
<第1弾>性感染症の意識調査
性感染症内科ペアライフクリニックは、男女261名を対象に「性感染症に関する意識調査」を実施し、そのデータを分析しました。
SNSなどの普及により多くの方とコミュニケーションすることが可能になりました。それに伴い「不特定多数の人と性的関係を持つ」ことも比較的安易となり、性感染症の感染者数が年々増加しております。
今回、当院にご来院いただいた患者様の同意のもと、性感染症に関する意識調査を行いました。
調査目的 | 性感染症に関する意識調査 |
有効回答数 | 261人 (男性176人/女性85人) |
回答数の年代 | 10代 47.5%/30代 27.2%/40代 13.0%/50代以上 12.3% |
調査方法 | ご来院者様へのアンケート(任意) |
調査場所 | ペアライフクリニック |
調査期間 | 2025年2月〜2025年3月 |
感染の疑いが考えられる
感染経路はどこですか?

ご来院いただいた患者様の男女261人に「感染の疑いが考えられる感染経路はどこですか?(複数回答可)」とアンケート調査したところ、「性風俗店」(45.2%)「マッチングアプリ」(29.5%)「パートナー」(27.2%)「ナイトクラブ」(5.0%)「交際クラブ」(4.6%)という結果となりました。
SNSの普及により不特定多数の交流がより手軽になったことなどが要因の一つとなり、日本では性感染症の感染者数は年々増加しております。実際に今回のアンケートでも「マッチングアプリ」などで知り合った方と性行為をした際に、性感染症に感染したと思われた方が3割近くいました。
性感染症の感染は「特定の場所」に限りません
性感染症は性風俗店など特定の場所のみでしか感染しないと思われる方も多くいるかと思いますが、決してそうではありません。また、多くの性風俗店が定期的な性病検査を実施していますが、利用者が性感染症に感染していた場合、予防をしなければもちろん感染してしまいます。
現在、梅毒が流行しておりますが感染している方は、性産業に勤務している方とは限りません。ピンポン感染を防ぐためには、定期的な検査や避妊具の使用、不特定多数との性行為を控えるなどの意識を持つことが大切です。
性感染症は無症状で感染しているケースが多くあります。少しでもリスク行為や違和感がありましたら近隣の医療機関や郵送の検査キットを利用し検査しましょう。
また、大切なパートナーの健康を守るためにも、万が一ご自身が性感染症に感染した際にはパートナーに伝え、ピンポン感染を防ぎましょう。放置してしまうと不妊症などの重篤な病気に繋がる恐れがあります。
パートナーと性感染症について
話したことがありますか?

ご来院いただいた患者様の男女261人に「パートナーと性感染症について話したことはありますか?」とアンケート調査したところ、半数以上の139名の方が「話したことがない」と回答しました。
性感染症は「自分ごと」でありながら
「話しづらい」テーマ
先程のアンケートでもあった通り、性感染症は特定の方のみが感染する病気ではありません。ただ、感染したから「悪い」というわけではもちろんありません。
無症状のまま、感染に気づかずにパートナーと性行為をしてしまう場合もあるでしょう。妊活のタイミングや出産前に検査することは一般的となっておりますが、新しいパートナーができたなどの節目でも、2人の健康を守るためにも性感染症の検査をしてみることをお勧めいたします。
パートナーと性感染症について
話したことがありますか?

性感染症に感染した際、パートナーに伝えることはできますか?のアンケート調査
ご来院いただいた患者様の男女261人に「性感染症に感染した際、パートナーに伝えることはできますか?」とアンケート調査したところ、44名(16.9%)の方が伝えることができないと回答しました。
性感染症というセンシティブな問題に対して、多くの方はパートナーとのコミュニケーションに不安や抵抗を感じていると言えるでしょう。
感染の報告は「正しさ」より「難しさ」が先に立つ
「パートナーに伝えられない」と回答した方が16.9%(44名/261名)にのぼったことは、決して少なくない割合です。感染したこと自体への不安に加え、伝えることで生じるかもしれない関係性の変化や信頼の揺らぎを恐れて、黙ってしまう人が一定数存在するという現実を示しています。
性感染症にかかることは誰にでも起こりうることであり、「恥ずかしいこと」ではなく「健康上の問題」として向き合うべきですが、そのような認識がまだ十分に社会に浸透していないことも、背景にあるのではないでしょうか。
今回の患者様アンケートから、性感染症に対する社会的な認識と個人の行動との間に大きなギャップがあることが浮き彫りとなりました。感染経路としては、性風俗店やマッチングアプリ、パートナーとの関係性が多く挙げられ、現代の多様な性行動が性感染症の感染拡大に関与していることが明確となりました。
特に、クラミジアや梅毒など多くの性感染症は無症状で進行することが多く、本人が感染に気づかずパートナーへと拡大していくケースが少なくありません。また、感染後に「パートナーに伝えられない」と回答した方が16.9%にのぼり、性感染症に対するスティグマやコミュニケーションの困難さが、治療や予防の障壁となっていることが示唆されます。
性感染症は誰にでも起こり得る疾患であり、正しい知識と定期的な検査、そしてパートナーとの適切な情報共有が感染拡大の抑制において極めて重要です。当院は、患者様が相談しやすい環境づくりや啓発活動の強化を行うとともに、性感染症が「特別な病気」ではなく「身近な健康問題」であることを社会全体に広めていく必要があると感じます。