性器ヘルペス|女性の症状と治療について
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性器ヘルペスは、女性に多く見られる代表的な性感染症のひとつです。原因となる単純ヘルペスウイルスは、性行為を通じて感染し、外陰部や膣内に水ぶくれや強い痛みを伴う症状を引き起こします。
特に女性は粘膜が傷つきやすく、男性よりも感染リスクが高いとされ、排尿や歩行が困難になるほど重症化するケースもあります。
初めて感染した場合は症状が強く長引く一方で、再発時には比較的軽症で経過することが多いですが、免疫力の低下やストレスをきっかけに繰り返し再発する可能性があります。
厚生労働省の調査では女性患者数が男性を上回っており、無症状のまま感染を広げてしまうケースも少なくありません。
症状の有無にかかわらず検査・治療が重要であり、早期に受診することで適切な対応が可能になります。
目次
女性の性器ヘルペスの症状
性器ヘルペスの疾患者は男性より女性の方が多いです。女性は性行為の際に摩擦によって膣内の粘膜に微細な傷ができやすいため、男性よりも感染リスクが高いです。
また、女性の方が男性より症状が重い傾向があり、排尿・歩行困難になるケースもあります。
初感染の場合
女性が性器ヘルペスに初めて感染した場合、外陰部やその周囲に強い痛みや痒みを伴う小さな水疱が出現するのが典型的な症状です。これらの水疱は破れると潰瘍となり、排尿時に強い痛みを感じることも少なくありません。
男性と異なり、女性では膣内や子宮頸管といった内部にまで病変が及ぶことがあり、膀胱に炎症が波及すると排尿困難や残尿感を訴えるケースもあります。発熱や全身の倦怠感、鼠径部のリンパ節腫脹を伴うことも多く、初感染時は再発時より症状が強く長引く傾向にあります。
再発の場合
性器ヘルペスの再発時は、初感染と比べて症状が軽く、病変の範囲も狭い傾向があります。ただし必ずしも全員が軽症とは限らず、個人差がみられます。
典型的には発熱や全身症状はほとんど伴わず、局所の水疱や潰瘍、軽い痛みや痒みが中心です。再発の前には「ピリピリする違和感」などの前駆症状が現れることもあり、ストレスや疲労、免疫低下、月経などが誘因となって症状が出やすくなります。
潜伏期間・感染経路について
性器ヘルペスは、セックスやアナルセックス、オーラルセックス(クンニやフェラ)などの性行為を通じて感染することが多い病気です。原因となる単純ヘルペスウイルス(HSV)は、感染から2日〜10日ほどで痛みやかゆみを伴う症状を引き起こすことがあります。
ただし、実際には感染しても症状が出ない場合も少なくありません。そのため、感染の可能性がある行為を行った場合には、自覚症状がなくても早めに検査を受けることが大切です。
性器ヘルペスの発生動向
性器ヘルペスの感染者は年々増加傾向にあります。その背景として、マッチングアプリの普及や性産業の拡大が指摘されています。
マッチングアプリにより、見知らぬ人と短期間で出会いやすくなったことで、複数のパートナーとの性的接触の機会が増え、感染リスクが高まっていると考えられます。こうした状況では、症状が出ていない無症状感染者からの感染も起こりやすく、注意が必要です。
女性の感染者報告数
厚生労働省の報告によると、令和5年の性器ヘルペス感染者は9,469人で、そのうち女性が5,980人を占めており、男性よりも感染者が多い状況です。
ただし、この数値は症状が出た患者の報告に限られていると考えられます。無症状で感染している方も多く存在するため、実際の感染者数はさらに多いと推定されます。
性器ヘルペスは症状の有無にかかわらず感染力があるため、早期の検査と適切な予防が重要です。
臨床現場の見解
当院では、2024年5月から2025年7月までの期間に、性器ヘルペスの検査を 3,153件 実施しました。そのうち、同期間に 726件の治療 を行っております。なお、検査を受けた方の中には症状が出ていない状態でスクリーニング検査を受け、結果として陽性と診断されたケースも含まれております。
そのため、検査で陽性と判定された方がすべて症状を発症しているわけではありません。また、近年は性器ヘルペスに関する検査件数が増加しており、それに伴い診断される患者数も今後さらに増加していく可能性があると考えられます。
性器ヘルペスの検査と治療
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって発症する性感染症で、水ぶくれや痛みなどの症状を繰り返すことが特徴です。
検査は視診や病変ぬぐい、血液検査で行い、症状の有無や感染時期に応じて適切な方法を選択します。当院では、症状が出ている場合にはバラシクロビルによる内服治療を行い、多くの方が1週間〜2週間ほどで改善します。
しかし性器ヘルペスは体内から完全にウイルスを排除することができないため、免疫力の低下などをきっかけに再発を繰り返すことがあります。
そのため、再発を抑える目的でファムビルを用いた再発抑制療法を行う場合もあり、症状の程度や再発の頻度に応じた治療選択が大切です。
性器ヘルペスの検査
性器ヘルペスの検査は視診、病変ぬぐい、血液検査によって行ます。それぞれ検査する可能なタイミングが異なりますので、以下に表をご確認ください。
検査方法 | 検査可能な期間 |
---|---|
視診 | 水疱などの症状が出てから検査可能 |
病変ぬぐい | 水疱などの症状が出てから検査可能 |
血液検査 | 感染期間から1ヶ月後 |
性器ヘルペスの治療

当院では、性器ヘルペスの治療に バラシクロビル500mgの内服薬 を使用しています。
服用方法は、1回1錠を1日2回、3日間継続 するのが基本となります。
服用を開始してからおおよそ 1週間〜2週間程度で症状が消失 することが多く、症状が改善した時点で治療完了となります。
再発抑制療法

性器ヘルペスは体内から完全にウイルスを排除することができないため、免疫力が低下した際に再発を繰り返すことがあります。
再発時には、抗ウイルスヘルペス薬の一つである ファムビル を服用することで、速やかに治療を開始することが可能です。
特に、再発のたびに症状が重くなる方や、再発を繰り返すことで生活に支障を感じている方に推奨される治療方法です。
また、ファムビルはバラシクロビルと比べて体への負担が少ない とされる点も、治療選択のメリットのひとつです。
女性ができる性器ヘルペスの予防法
性器ヘルペスを予防するためには、コンドームの使用 や 症状がある間の性行為を控えること が重要です。
さらに、規則正しい生活や十分な睡眠・栄養管理など、免疫力を維持する生活習慣 も再発予防に役立ちます。
また、妊娠中に性器ヘルペスを発症した場合、分娩時に赤ちゃんへ感染し「新生児ヘルペス」を引き起こすリスク が高まります。
そのため、妊娠中に症状が見られた際には自己判断せず、速やかに当院へご連絡ください。医師が今後の処置や分娩方法について丁寧にご説明いたします。
ペアライフクリニックは予約不要で
ご来院いただけます

「感染行為を行いすぐにでも検査を受けたい方」
「先の予定がたてにくく予約を取ることが難しい方」
「性感染症に該当する症状を発症しているが誰にも相談できない方」など
性感染症は誰にも感染するリスクがあるのにも関わらず受診しずらい感染症だからこそ予約不要で手軽にご来院いただける体制を整えています。検査を受けたその日に検査結果がわかり、陽性だった場合には当日に治療を開始することができます。
また、性感染症・感染症学会に所属している医師が常駐しております。ご不安なことがありましたらお気軽にご相談くださいませ。
性器ヘルペス|女性の症状と治療について よくあるご質問
A.
性器ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス(HSV)」の感染によって発症する性感染症です。外陰部や膣内に水ぶくれや潰瘍が出現し、強い痛みや痒みを伴うことがあります。症状が治まっても体内からウイルスを完全に排除することはできず、免疫力が低下したときに再発を繰り返す特徴があります。
A.
はい。女性は性行為の際に膣の粘膜に細かい傷ができやすく、そこからウイルスが侵入するため男性よりも感染リスクが高いとされています。
A.
初感染時は水ぶくれや潰瘍、発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなど全身症状が出ることが多く、症状が強く長引く傾向にあります。一方で再発時は、局所の違和感や軽い痛みを伴う程度で済むことが多く、病変の範囲も狭くなります。
A.
再発を繰り返す方や症状が重くなる方には、ファムビルを用いた再発抑制療法 をおすすめしています。ファムビルは体への負担が少ないとされ、速やかに治療を開始できる点がメリットです。
A.
性器に水ぶくれや痛み、かゆみなどの症状がある場合は、性感染症内科、皮膚科、泌尿器科の受診をおすすめします。特に女性は婦人科でも診察を受けられます。症状が出ているタイミングで受診することで、適切な検査と治療を早期に開始することが可能です。
A.
性器ヘルペスは一度感染すると体内に潜伏し、免疫力低下で再発することがあります。そのため、発症=浮気とは限りません。パートナーと一緒に検査や治療、予防を行うことが大切です。