Gonorrhea 淋病

目次
淋病とは

淋菌感染症(淋病)とは、淋菌という細菌によって引き起こされる性感染症の一つであり、性器やのど、肛門、眼(結膜と角膜)に感染します。
クラミジア同様、日本でも感染者数が多くクラミジアよりも症状が強く出るケースが多いです。15〜19歳の女性と20〜24歳の男性の感染者が多いと言われており、若年層では性感染症(STI)のスクリーニング率が低いため、感染拡大のリスクが高いです。男性の方が淋菌感染症(淋病)の感染者が多いというデータがあります。
男性に比べて女性の淋菌感染症(淋病)感染者数が少ないのは、女性の方が無症状で感染しているケースが多く報告されていないという背景があります。
女性から男性に対しては1回の性行為につき20%程度、4回以上で60~80%程度といわれております。
男性から女性に対しては1回の性行為につき50~70%程度とされております。一回の性行為での感染伝達率は30%程度と高いため、感染者数が多くなっているのが現状です。
淋菌の特徴
人間の粘膜にいる間は生存できるという特性があります。淋菌自体はとても弱い菌なので、日光や温度差、乾燥によって死滅してしまいます。そのため、性行為以外での感染はほとんどありません。温泉・プール・便座・タオルなどからの感染は極めて稀と言えます。一方で、粘膜接触で淋菌に汚染された手指で目をこすって結膜感染を引き起こすケースは報告されています。
淋菌感染症(淋病)に感染している方と、性行為(セックス・フェラチオ・クンニ・アナルセックス)をすることで感染します。淋菌は男性では自覚症状が出ることが多いですが、女性では自覚症状が出にくいのが大きな特徴で、自身の感染に気づかずブライダルチェックや不妊治療の際に感染に気づくケースもあります。
また、「ピンポン感染」の場合は、固定のパートナーと感染を繰り返すために、パートナーだけ治療しても再発するリスクが高くなります。そのため淋菌感染症(淋病)に感染した場合、再感染予防の観点からパートナーに感染を伝え医療機関への受診を促しましょう。
淋病の感染者数

淋菌の感染者数は2002年~2003年をピークに減少し、2016年以降ほぼ横ばいであったのが、2020年以降男女ともに増加してきています。
さらに2018年からは20代で、2020年から25~34歳で増加を始め、2021年には全ての年齢で増加に転じています。
淋菌の感染者数は近年増加傾向にあり、この増加の背景には、性感染症に対する意識の低下や、コンドームの使用率の減少が指摘されています。また、抗菌薬耐性を持つ淋菌の出現も深刻な問題となっています。
淋病の感染経路
淋菌感染症(淋病)は基本的に性行為のみで感染する感染症です。病原菌が存在する場所から、粘膜(目・口腔・性器・肛門)に接触することで感染します。
淋菌は男女ともに主に性器に感染しますが、のどや目、肛門に感染して、咽頭痛(腫大)・結膜炎(膿)・肛門不快感(痒み)などを引き起こすこともあります。
淋菌はオーラルセックス(フェラチオ・クンニ)などの性行為により、口の粘膜にも感染する場合があります。しかし、淋菌は乾燥や高温に弱く水中での生存時間も短いため、飲み物の共有や公衆浴場などで感染するリスクは極めて低いのでご安心ください。
淋病は母子感染します
出産時に淋菌に感染していると、分娩時の「産道感染」で赤ちゃんに母子感染してしまうリスクがあります。赤ちゃんに感染した場合、化膿性結膜炎や関節炎を発症するだけでなくひどい場合、失明してしまう可能性もあるので、必ずブライダルチェックを受けましょう
淋病が感染する部位
- 性器
- 咽頭(のど)
- 肛門
- 目
淋病は性器だけでなくのどや肛門、目にも感染することがあります。性器に感染している場合は、同時に喉にも感染している場合があります。
淋病に感染する行為
- セックス(膣性交)
- フェラチオ
- クンニ
- アナルセックス
- 母子感染
淋病は通常のセックス以外にもオーラルセックスやアナルセックス、キスでも感染する可能性があります。
淋病の症状と病気
淋病に感染すると男性で2~7日間、女性では7~10日間程度の潜伏期間といわれております。男性では約90%に主に尿道炎の症状がでます。一方で、女性の約50~80%は無症状です。リスク行為後は罹患している可能性があります。
男性器の症状
- 排尿時の激しい痛み
- 尿道から黄白色の膿(多量)
- 尿道の痒みや不快感
- 陰嚢の腫れや圧痛
- 軽い発熱や痛み
- 頻尿や尿意切迫感
- 血尿(まれ)
淋病に感染しており、症状が出ている方は自覚症状がはっきりしており、尿道炎による激しい排尿痛を訴えます。
また、尿道から膿が出ることが大きな特徴の一つとなっているため、下着に分泌液が付着していることが多々あります。但し、最近は症状がはっきりしないこともあります。
女性器の症状
- 性行為時の痛み
- 膿性おりものの増加(黄~緑色)
- 不正出血
- 下腹部の痛み
- 排尿時痛や頻尿
- 陰部の腫大や疼痛
女性の場合、男性より無症状で感染しているケースが多くあります。
感染に気づかず放置してしまうと、子宮頸管炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤内炎症性疾患(PID)と不妊の原因や重篤な病気になる恐れがありますので早期発見・早期治療が大切です。
のどの症状
- のどの痛み
- のどの腫れ
- 発熱
のどの粘膜に感染し、稀に咽頭炎のような症状が発症します。のどに関しても無症状であることが多く、症状がでても風邪に似たような症状のため、感染に気づきにくいのが特徴です。まれに扁桃腺が大きく腫れることがあります。
肛門の症状
- 肛門のかゆみ
- 肛門の違和感
- 肛門性行為時の痛み
- 下痢や出血
のどの感染と同じように、無症状であるケースが多くあります。
アナルセックスだけでなく、肛門を舐める・舐められる行為でも感染するため、必ずしもアナルセックスをしていないから感染していないというわけではございません。
眼の症状
- まぶたが腫れる
- 結膜充血と浮腫
- クリーム状の目やに(多量)
目に淋菌が感染することを淋菌性結膜炎といいます。粘膜接触で淋菌に汚染された手指などを介して、何らかの感染経路で淋菌が目に暴露されることにより発症します。
母子感染の場合は、母体感染が原因で発症します。重症化すると失明の原因となるため、注意が必要です。
淋病が原因で重篤な病気に
男性が淋病の感染に気づかず放置してしまうと、前立腺炎や精巣上体炎を発症することがあります。尿道が狭窄して尿が出にくくなるなどの後遺症が残ったり、不妊の原因になったりするため注意が必要です。 女性が淋病を放置して重症化すると、骨盤内炎症性疾患を引き起こし不妊などの後遺症が残ることがあります。将来的に子供が欲しくなった場合に妊娠が困難になるため、感染が疑われる場合は早めに治療を受けることが大切です。 また、妊娠中に淋病に感染した場合は出産時に胎児へと感染する恐れもあります。さらに、淋菌に感染していることでHIV感染も容易になりうるとされています
淋病の潜伏期間
淋病の潜伏期間は一般的に男性で2~7日間、女性では7~10日間程度といわれております。しかし、淋病は無症候性のことが多いため、正確な潜伏期間がデータとして残っていないことが多いです。
潜伏期間を経て症状が発症しますが、個人の免疫力などに影響されるため、症状発症までの日数は個人差があります。
また、何度もお伝えしている通り淋病は大半の方が無症状で感染しております。リスクのある行為後に数週間経って、症状が出ない場合でも淋病に感染している可能性は大きくあります。
潜伏期間でもパートナーに感染するリスクがあります
潜伏期間とは感染してから、症状を発症するまでの期間を指します。リスク行為後潜伏期間だからパートナーに感染することがないわけではありません。
潜伏期間でも性病検査は可能
リスク行為後、すぐに淋病の検査は可能です。当院は精密検査機器(PCR法)を導入しているため、症状が発症していなくても淋病の病原菌は存在しますので、感染の有無を検査することができます。
淋病の検査方法

当院で行う淋病の検査は全て精密検査(PCR法)です。当院は院内に精密検査機器を導入しているため、淋病の精密検査を最短90分でご報告いたします。
そのため、検査当日に陽性であればそのまま治療を開始することができます。性感染症専門のクリニックだからこそ「精度」「速さ」「伝える」をどこよりも徹底して行なっております。
部位別の検査方法について

男性器の場合
尿を検査します。採尿時にコップをお渡ししますので、そちらに尿を採取してください。
検査精度を保つために、来院の2時間前から排尿はお控えください。
女性器の場合
膣分泌液を検査します。綿棒を使用して分泌物を採取します。当院の採取用トイレにてご自身で採取を行なっていただくため、デリケートゾーンを他人に見られる心配はございません。
咽頭の場合
うがい液を検査します。コップに入った生理食塩液を15秒間、うがいしていただきます。そのままうがい液をコップに戻して検体をご提出ください。
肛門の場合
肛門分泌液を検査します。細い綿棒を数センチ肛門に入れて分泌物を採取します。ご自身で採取していただきますので、身体へのお負担は軽減できます。
淋病の治療

淋病は古くから認められている性感染症ですが、薬剤耐性が深刻な問題となっています。症状や後遺症も強いため、必ず治療が必要です。
淋病は点滴・筋肉注射・飲み薬で治療することができます。当院では2種類の治療方法をご用意しております。
- セフトリアキソン(点滴)
- トロビシン(筋肉注射)
患者様に合わせた治療方法をご提案いたします。淋病の治療や副作用などに関して、ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
<セフトリアキソンNa静注用1g>
費用 :9,800円
用法・用量:通常、1日1〜2g(力価)を1回又は2回に分けて静脈内注射又は点滴静注する
副作用:ショック、頭痛、皮疹、肝炎、腎炎、尿路結石、胆石、血液・胃腸障害など
<トロビシン筋注用2g>
費用 :9,800円
用法・用量:通常成人は2g(力価)を1回臀部筋肉内に注射する
副作用:ショック、注射部位疼痛、皮疹、頭重感、悪心、腹部症状、しびれ、めまいなど
当院の淋病治療方針
淋菌感染症(淋病)の治療は患者様のご負担や治癒効果などの点から、セフトリアキソン(点滴)を第一選択としております。15分〜20分ほどの点滴で治療が完了いたします。淋病は耐性がついているケースが多く、飲み薬では治療ができない場合がございます。
(淋病の治療の際は、お時間に余裕を持ってご来院ください。)
淋病の治癒確認
淋病の治療完了後、2週間後に治癒確認検査を受けて菌が検出されなければ治療完了となります。治癒確認ができるまでの性行為はお控えください。
淋菌の耐性について
ほとんどの患者様がしっかりと薬を服用すれば完治することができますが、耐性菌を持った淋病に感染している場合、一度の治療では完治できない場合がございますので、必ず治癒確認検査を行なってください。
淋病の予防方法
- 予防薬を使用する
- コンドームを使用する
- 不特定多数との性行為を避ける
- 定期的な性病検査
- 感染時パートナーにも受診を促す
淋病の感染を100%予防することは、難しいですが感染リスクを抑えることはできます。淋病は免疫が付かないため、繰り返し感染します。
前述の通り、淋病に感染すると重篤な病気や不妊の原因となりますので、感染予防に努めましょう。
髄膜炎菌ワクチンによる淋菌予防について
現在、淋菌のワクチンは存在しませんが、淋菌と同じナイセリア属の髄膜炎菌ワクチンはすでに使用されており、海外の報告では予防効果が認められています。今後の淋菌感染症ワクチンの開発にも期待される報告と思われます。
ドキシペップ|クラミジア予防薬
当院では淋病の予防薬である、ドキシペップを処方しております。ドキシペップは淋病などの感染リスク行為後72時間以内に服用することで感染リスクを下げることができる予防方法です。
淋病の料金・プラン
淋病に感染している方は、クラミジア・梅毒など他性感染症も発症している可能性が高いため、セットプランもご用意しております。症状や既往歴などをもとに検査プランをご提案いたしますので、お困りの方は一度当院にご来院ください。
- 淋病検査
- 3,980
- 淋病治療
- 9,800
- 淋菌・クラミジアチェック
- 6,980
- ベーシックチェック
- 9,800
- スタンダードチェック
- 19,800
- フルチェック
- 24,800
- パーフェクトチェック
- 39,800
Gonorrhea FAQ 淋病のよくあるご質問
A.
自然治癒することはありません。症状がおさまっても病原菌は存在し続けます。淋病を治すためには必ず治療しましょう。
A.
感染している可能性が高いです。すぐに淋病の検査を受けましょう。同時に他の性病に感染している可能性もあります。医師と相談して他の性病の検査も同時に受けましょう。検査結果に応じて、必要な治療を受けてください。
A.
治療中の性行為はお控えください。治療完了から2週間以降に治癒確認の検査をしてください。淋病は一度の治療でほとんどが完治しますが、耐性がついている淋菌も多く存在します。
A.
いいえ、何度も感染します。淋病には免疫がつきません。そのため感染者と性行為をする度に感染する可能性があります。
A.
治療が必要です。のどの感染は無症状である場合がほとんどです。
しかし、オーラルセックスなどでパートナーに感染してしまうことはもちろんありますので、治療をしましょう。
A.
淋病の菌が無くなってからも炎症の瘢痕として症状が残る場合がございます。2週間以上様子を見ても症状がかわらない場合は改めてご来院ください。
また、その他の性病に感染している場合がございますので、他の項目の検査もご案内いたします。
A.
当院では数種類の治療方法をご用意しております。当院では治癒能力の高い「セフトリアキソン」の点滴を推奨しております。他院で効果の出なかった方もお気軽にご相談ください。
A.
性行為以外で感染することはほとんどありません。
淋病に感染した際はリスク行為のあったパートナーも感染している場合がございますので、必ずパートナーにお伝えしましょう。