【2026年9月2週目】性病のトピックス

国内における梅毒流行の推移
スクリーニング動向

日本国内では、2020年代前半にかけて増加を続けていた梅毒の報告数に変化がみられています。2026年上半期の全国の報告数は5,892人で、前年同期と比べて約17.8%減少しました。検査啓発や早期発見・早期治療の取り組みが広がったことなどが背景にあると考えられます。

一方、東京都、大阪府、愛知県などでは依然として報告数が高い水準にあり、地域によっては増加傾向もみられるため、引き続き注意が必要です。また、クラミジアは無症状のケースも多く、直近1年間の約2万9,000件の検査では陽性率が約8.5%となっています。感染を早期に発見するため、症状の有無にかかわらず定期的な検査を受けることが重要です。

参照:国立健康危機管理研究機構

ペアライフクリニックの見解

ペアライフクリニックの実績数

上のグラフは、ペアライフクリニックにおける梅毒、淋菌、クラミジア、マイコプラズマの陽性者数を示したものです。推移を見ると、特に淋菌の陽性者数が増加傾向にあることが分かります。淋菌は感染していても症状が現れない場合があり、気づかないまま他の人へ感染を広げてしまう可能性があります。

また、近年は薬剤耐性も問題となっているため、早期の検査・治療が重要です。感染機会があった方や少しでも不安がある方は、症状の有無にかかわらず検査を受けることをおすすめします。

欧州および欧米諸国における疫学状況と課題

欧州疾病予防管理センター(ECDC)の最新レポートでは、欧州における細菌性の性感染症が高い水準で推移しており、特に淋菌感染症は過去10年間で大きく増加しています。また、梅毒も高い水準が続いており、妊婦から胎児への感染による先天性梅毒の増加も課題となっています。

一方、アイルランドでは郵送型のホームテストなど検査へのアクセスを広げる取り組みにより、若年層のクラミジアや淋菌の報告率が減少したとされています。今後は、コンドームによる予防に加え、Doxy-PEPなどの予防策や、オンラインを活用した検査体制の整備が重要になると考えられます。

参照:ECDC

ペアライフクリニックの見解

ドキシペップ
販売個数
来院者数
2025年8月466個5,284人
2026年8月1,068個9,825人

上のグラフは、ペアライフクリニックにおけるドキシペップを目的とした来院者数の推移をまとめたものです。2025年8月は、ドキシペップを目的とした来院者が全体の8.82%でした。一方、2026年8月は10.87%となり、前年同月と比較して2.05ポイント増加しています。

来院者数そのものが増加していることに加え、全体に占めるドキシペップ目的の来院者の割合も上昇しており、ドキシペップへの関心が高まっていることがうかがえます。

臨床現場における耐性菌リスクと今後の展望

臨床現場では、治療薬に対する耐性菌の出現が世界的な課題となっています。特に淋菌では、欧州やアジア太平洋地域を中心に多剤耐性化(MDR/XDR)への警戒が続いており、治療が難しくなるケースも懸念されています。また、皮膚科・性感染症科の症例報告では、抗真菌薬に対する耐性株など、新たな治療上の課題も報告されています。

こうした背景から、性感染症対策には感染予防だけでなく、抗菌薬を適切に使用する「抗菌薬適正使用(Antimicrobial Stewardship)」の推進や、必要に応じてパートナーも同時に治療するなど、再感染を防ぐ取り組みが重要です。各国の公的機関や専門機関では、検査・予防・治療体制の充実を進め、2030年に向けた性感染症対策の強化を目指しています。

参照:WHO

ペアライフクリニックの見解

参照:jmedmook58 あなたも名医!外来でどう診る?性行為感染症

近年、淋菌やマイコプラズマ・ジェニタリウムでは、薬剤耐性によって治療が難しくなるケースが増えており、感染を防ぐための予防対策がより重要になっています。これらの感染症を治療せずに放置すると、将来的に不妊症などの原因となる可能性があるため、感染が疑われる場合には早めに検査を受け、適切な治療を行うことが大切です。

一方で、薬剤耐性が進むことで、これまで使用されてきた治療薬が効きにくくなるケースもあります。そのため、感染してから治療するだけでなく、感染そのものを予防する意識を持つことが重要です。コンドームの使用や定期的な検査など、日頃からできる対策を取り入れ、感染の早期発見・早期治療につなげていくことが大切だと考えています。

参考文献

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