梅毒の感染経路について
目次
梅毒は、性行為によって起こる感染症と考えるかもしれません。しかし、梅毒は性行為以外でも感染すると考えられています。梅毒の原因と感染経路について詳しく解説します。梅毒の感染経路を正しく理解し思わぬ感染を防ぎましょう。
梅毒とは
梅毒は日本で疾患者が多い性感染症の1つです。梅毒トレポネーマという細菌が血液によって全身に運ば発症します。早期梅毒の症状として、陰茎のしこりや下疳ができることがあります。また、「バラ疹」とや呼ばれる赤色の疾患が手、足の裏、体幹部にでることもあります。
感染から1年経過した梅毒を後期梅毒といいます。症状の特徴として、ゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘤が皮膚や筋肉、骨などに出現し、周囲の組織を破壊してしまうことがあり最悪な場合、歩行障害になることもあります。
梅毒の感染者数

梅毒は年々感染者数は増加しています。特に女性の感染者が大幅に増加しています。梅毒の感染者数が増えている原因として、マッチングアプリやSNSの普及により容易に知らない人と会えることができるようになったことが原因だと考えられます。特に女性は、令和3年から令和4年にかけて2倍の感染者数になっています。
梅毒の主な感染経路
梅毒は病変部が粘膜に付着することで、梅毒の原因となる梅毒トレポネーマが侵入して感染します。梅毒の主な感染経路は性行為による感染です。
感染から1年未満の梅毒患者と、性行為をした際の感染率は約30%と推定されており、感染率が高いことが分かります。特に梅毒に感染してから、10週間程度は梅毒トレポネーマの感染力が高く、感染しやすい時期です。
梅毒感染経路①性器→性器
性器同士の接触で梅毒は感染します。膣性交による感染はもちろん、膣内に挿入をせずに性器をこすりあわせる疑似性交でも梅毒は感染するのです。病変の出ている性器には梅毒の原因となる梅毒トレポネーマが潜んでいるため、性器を挿入することで確実に感染します。
しかし、性器のみならず精液や膣分泌物にも梅毒トレポネーマは潜んでいるため、性器を挿入しなくても、性器同士が触れ合う、分泌物や精液が粘膜に付着するだけでも感染する可能性は非常に高くなるのです。
梅毒の感染経路②性器↔︎口
性器と口腔が接触する、いわゆるオーラルセックスも梅毒の主な感染経路です。もしも、ペニスに病変部がある人にフェラチオをした場合には、自分の唇や口の中に感染する可能性があります。
また、唇や口の中に梅毒の症状が出ている人からフェラチオをされた場合には、自分のペニスに感染する可能性があり、双方で感染するリスクが高いと考えられています。
口の中や唇にしこりや潰瘍ができている場合には、梅毒に感染している可能性があるため、性行為を避けるのがベストです。
梅毒の感染経路③口↔︎口
口の中に梅毒が感染した場合には、唾液のなかに梅毒トレポネーマが潜んでいる可能性があります。そのため、キスでも感染する可能性もあるのです。
梅毒感染経路④性器→肛門
性器から肛門による感染が、梅毒の感染経路としてもっとも多いといわれています。性器に病変部があった場合に、肛門へ感染します。梅毒トレポネーマは国立感染症研究所でも培養方法がないといわれているため、梅毒トレポネーマそのものが増殖して、菌の量が増えることはありません。
しかし、低酸素状態を好む梅毒トレポネーマは肛門内では生存しやすいため、感染しやすくなると考えられているのです。
また、梅毒は病変部から感染することが分かっています。肛門以外のほかの部位の場合には、感染部位を直接目で見て確認できるため、予防も可能です。
しかし、肛門への感染は、直腸の中を直接目で見て確認できないため、ほかの部位よりも感染リスクは高まると考えられています。さらに、直腸は傷つきやすいため、性器が侵入したことで直腸が傷つき、その傷ついた部分から梅毒トレポネーマが侵入しやすくなってしまいます。
淋病の感染経路⑤母↔︎子
梅毒に感染している女性から生まれた子どもは、母親の血液を介して梅毒に感染することが分かっています。これを先天梅毒といい、難聴、失明(網膜炎)をはじめとする目の疾患、 精神発達遅滞をもって生まれてくる可能性が高いです。
梅毒の原因として
可能性がかなり低い感染経路
淋梅毒は性行為のみで感染するものではありません。可能性としては極めて低いものの、梅毒の感染経路には傷からの感染があります。梅毒の原因となる多量の梅毒トレポネーマが傷のある手や指を汚染した場合に発症します。たとえば、剃刀を使いまわしたり、性行為時に使用したコンドームなどを素手で長時間触ったりすることで感染するとされているのです。
しかし、梅毒トレポネーマは低酸素状態でしか生存できないとされているため、体外に排出されてしまうと長期間感染力を保ちながらの生存はできません。梅毒トレポネーマの生存環境を考えると、体外を離れた状態で人に感染する可能性はひじょうに稀と言われているのです。
一昔前には輸血による感染も考えられており、実際に輸血によって梅毒に感染するケースもありました。しかし、現代では輸血による感染は劇的に減少しており、輸血による感染報告はありません。ただし、緊急輸血のため、ドナーから採取した血液製剤をすぐに使用するというケースであれば梅毒の検査がなされないままに輸血をするため、輸血によって感染をする可能性もゼロではないということになります。
梅毒の症状
梅毒は感染の経過によって症状が異なります。初期症状は一時的に症状が軽くなることが特徴としてあげられ、治ったと勘違いをし放置する人が多いです。少しでも違和感があったら検査を受けることを推奨します。
初期症状
感染から1ヶ月前後を早期梅毒(第1期)と呼びます。早期梅毒の症状は、亀頭や陰茎にしこり、下疳などの症状が現れます。これらの症状は治療をしなくても病状がよくなるため放置する人が多いです。梅毒は自然治癒しませんので症状が出た場合、早急に検査・治療を行ってください。
感染後数ヶ月
感染から数ヶ月から1年未満を早期梅毒(第2期)と呼びます。代表的な症状は、「バラ疹」と呼ばれる赤色の発疹が手のひら、足の裏、体幹部に現れます。その他にも、倦怠感や発熱を引き起こすこともあります。これらの症状は数週間以内に軽快し、再発を繰り返しますが次第に症状は軽くなってきます。
感染後数年
感染から1年以上を後期梅毒と呼びます。後期梅毒の症状として、ゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘤が皮膚や筋肉、骨などに発生することがあります。また、心血管梅毒や精神症状などに伴う進行麻痺や歩行障害まで発展する可能性があります。
心当たりないのに
梅毒の症状がある方へ
梅毒の感染原因となるのは性行為です。性的な接触によって性器同士あるいは性器とそれ以外の粘膜との接触が主な感染原因で、セックス(膣性交)、アナルセックス(肛門性交)、キス(口腔性交)が感染原因となる行為にあたります。
とくに、傷口があると感染しやすくなるため、傷ができやすい肛門性交においては、梅毒トレポネーマが感染しやすいといえるでしょう。また、口腔内に梅毒トレポネーマが潜んでいた場合にはキスによって感染する可能性もあります。
梅毒の検査方法と時期
当院では梅毒検査を採血による血液検査によって検査を行います。検査結果を最短20分でわかるので陽性だった場合、その後に治療を行うことができます。検査は感染機会から30日後から受けることができます。
梅毒の予防方法
梅毒を引き起こす細菌(トレポネーマ・パリダム)は、感染者の粘膜や皮膚の傷、分泌物を通じて体内に侵入するため、コンドームを使用し性行為を行うことや不特定多数の人と性行為を避けることで梅毒に感染するリスクを下げることができます。
梅毒の感染経路の原因まとめ
梅毒の感染経路となる主な原因は性行為であるため、性行為時にコンドームを装着したり、梅毒の病変部を確認したら性行為を控えたりすれば感染を予防できます。
膣性交のみが梅毒の感染原因と思われることもありますが、膣性交よりも肛門性交の方が感染する可能性は高いです。また、梅毒トレポネーマが口腔内に感染していた場合にはキスだけでも感染する可能性が高まります。
ほかにも、非常に稀な例ですが傷口からの感染や、輸血での感染もあり、一概に性行為のみが梅毒の感染経路になるわけではありません。
また、梅毒の病変部からHIV(エイズウイルス)が侵入しやすいため、梅毒に感染して治療をせずに性行為を続けていると、HIV感染率が高くなるといわれています。また、梅毒は感染から10週間程度は感染力が高く、ほかの人に感染させる可能性が高まります。
そのため、梅毒に感染した可能性がある場合には早めに検査を受け、治療をしましょう。
ペアライフクリニックは予約不要で
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「感染行為を行いすぐにでも検査を受けたい方」
「先の予定がたてにくく予約を取ることが難しい方」「予約を取ることがめんどくさい方」「性感染症に該当する症状を発症しているが誰にも相談できない方」など性感染症は誰にも感染するリスクがあるのにも関わらず受診しずらい感染症だからこそ予約不要で手軽にご来院いただける体制を整えています。
検査を受けたその日に検査結果がわかり、陽性だった場合には当日に治療を開始することができます。また、性感染症・感染症学会に所属している医師が常駐しております。ご不安なことがありましたらお気軽にご相談くださいませ。
よくある質問 梅毒の感染経路について
A.
感染者の病変と粘膜や皮膚や直接接触することで感染します。
例えば、性器同士の接触、性器と肛門の接触、性器と口の接触などがおもな感染経路です。
A.
はい、あります。
梅毒の病変が口腔内や唇にある場合、キスによって感染する可能性があります。
A.
いいえ、しません。
握手、共有のトイレや浴槽などでは感染しません。