ヘルペスの治療|完治と再発について
ヘルペスは「治る」のか?
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染することで発症する性感染症です。特に「HSV-2」が性器ヘルペスの主な原因とされており、一度感染すると、ウイルスは体内から完全に排除されることなく、神経節に潜伏し続けるという特徴があります。
そのため、医学的に「完治」という表現は適切ではなく、正確には「再発を抑えながらうまく付き合っていく病気」と言えます。
症状が消失したとしても、ウイルスが体内に潜伏している以上、将来的に再発する可能性がある状態です。ただし、近年では抗ウイルス薬の進歩により、症状を早期に抑えることが可能になっており、再発を予防する方法も確立されてきています。
ヘルペスは完治しない
結論からいえば、ヘルペスウイルスを完全に体内から排除することはできません。性器ヘルペスは初感染後、ウイルスが感覚神経に沿って移動し、腰部の神経節に潜伏します。この状態では症状は出ませんが、ストレスや体調不良などが引き金となり、ウイルスが再活性化して再発を引き起こすことがあります。
つまり、皮膚症状が治まっても、ウイルスそのものが体からなくなるわけではないため、根本的な意味での「完治」は難しいとされています。ヘルペスにおける「治療」とは、発症時の症状を抑えることと、再発を予防することに重点が置かれています。
ヘルペスの再発について
再発とは、神経節に潜伏していたウイルスが再活性化し、再び症状として現れる状態を指します。ヘルペスウイルスは、下記のような状態の時に再発しやすくなります。
- 体力の低下
- ストレス
- 月経
- 紫外線
- 性行為による刺激
このような状態の時にヘルペス特有の皮膚や粘膜に水疱やただれといった症状を生じさせることがあります。
再発時の症状は、初めての感染に比べて軽度であることが一般的で、前駆症状としてチクチクとした違和感やかゆみを伴うこともあります。これらの前兆を早期に察知し、すぐに抗ウイルス薬による治療を開始することで、症状を最小限に抑えることが可能です。
再発の頻度と個人差
再発の頻度には個人差がありますが、統計的には初感染から1年以内に50~80%の方が再発を経験するとされています。ただし、全く再発しないケースもあり、発症頻度や重症度は年数の経過とともに次第に落ち着いていく傾向があります。
また、体質や生活環境、ストレスの有無、免疫状態などが再発のしやすさに影響を与えるため、同じウイルスに感染していても人によって経過が大きく異なるのが特徴です。
再発予防のポイント
ヘルペスの再発を防ぐには、抗ウイルス薬による「抑制療法」と「生活習慣」の見直しが重要です。当院では、バラシクロビル(抗ウイルス薬)を継続的に内服することで、ウイルスの再活性化を抑えることができます。この方法は、再発を頻繁に繰り返す方や、パートナーへの感染予防を強く希望する方にとって有効な治療法です。
また、睡眠や栄養をしっかりとる、ストレスをためない、風邪をひかないよう体調管理に努めるといった生活習慣の改善も再発予防に寄与します。性行為の際には、発症中は避けるのが望ましく、コンドームの使用も一定の感染リスク軽減に役立ちますが、完全に防げるわけではない点には注意が必要です。
ヘルペスと向き合うために
性器ヘルペスは、ウイルスが完全に消えることはありませんが、症状のコントロールや再発の予防を通じて、日常生活に支障なく過ごすことは十分に可能です。重要なのは、症状が出たときに早めに対応すること、そして再発を予防する知識を持っておくことです。
当院では、ヘルペスの検査・治療はもちろん、再発に不安のある方へのご提案まで、専門的な知見を持った医師がサポートいたします。性器ヘルペスでお悩みの方はお気軽にご相談くださいませ。