口唇ヘルペスと性器ヘルペス
ヘルペスとは

「ヘルペス」と聞くと、多くの方が口元にできる水ぶくれやかゆみを思い浮かべるかもしれません。
しかし実は、ヘルペスには「口唇ヘルペス」と「性器ヘルペス」の2種類があり、それぞれに特徴や感染経路、再発リスクが異なります。
口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いや注意点を、性感染症専門クリニックの視点から解説いたします。
目次
口唇ヘルペスとは
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)によって引き起こされる感染症です。多くは、子どもの頃に親や周囲の大人からの接触で感染し、一度感染するとウイルスは体内の神経節に潜伏します。
口唇ヘルペスの主な症状
口唇ヘルペスの症状は下記の通りです。
- 唇や口の周囲に小さな水ぶくれ
- かゆみやヒリヒリする痛み
- 発熱や倦怠感(初感染時に多い)
口唇ヘルペスは再発しやすい感染症で、ストレスや疲労、風邪など免疫力の低下をきっかけに再発します。また、同じ場所に繰り返し症状が出ることが大きな特徴です。
性器ヘルペスとは
性器ヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)による性感染症です。ただし、近年はオーラルセックスなどの影響で、HSV-1が性器に感染するケースも増えています。
性器ヘルペスの主な症状
性器ヘルペスの症状は下記の通りです。
- 唇性器や肛門周囲に水ぶくれや潰瘍
- 排尿時の痛み
- 鼠径部のリンパ節腫脹
- 初感染時には強い全身症状(発熱・頭痛・筋肉痛など)を伴うことも
性器ヘルペスは感染しても症状が出ない人も多く、無自覚のまま他者に感染させてしまうリスクがあります。
口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違い
口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いは下記の通りです。
項目 | 口唇ヘルペス | 性器ヘルペス |
---|---|---|
原因ウイルス | HSV-1 | HSV-2(HSV-1も増加) |
感染部位 | 唇・口の周囲 | 性器・肛門周辺 |
感染経路 | キス・接触 | 性行為 |
初感染の年齢 | 幼少期 | 性行為が可能な時期〜 |
再発頻度 | 比較的少ない | 比較的多い |
無症状の割合 | やや低い | 高い |
口唇ヘルペスから性器ヘルペスに感染することはある?
あります。口唇ヘルペスに感染した人がオーラルセックスを行うことで、性器にHSV-1が感染するケースが増えています。これにより、性器ヘルペスの原因がHSV-1であるケースも少なくありません。
性器ヘルペスの感染経路と予防方法
性器ヘルペスは、主に性的接触を通じて感染します。具体的には、膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスを含むあらゆる性行為によって、皮膚や粘膜がウイルスと接触することで感染が成立します。感染部位に明らかな症状が出ていない場合でも、ウイルスは皮膚や粘膜に存在することがあり、見た目では判断がつかないまま感染が広がってしまうこともあります。
また、HSV(単純ヘルペスウイルス)は非常に感染力が強く、接触するだけで感染する可能性があります。コンドームを使用することで感染のリスクをある程度下げることは可能ですが、ウイルスが存在する皮膚や粘膜がコンドームで覆われていない場合には感染を防ぎきれません。そのため、完全な予防は難しく、「症状がある時は性行為を控える」「パートナーと感染状況を共有する」などの行動も重要です。
性器ヘルペスの料金・プラン
性器ヘルペスに感染している方は、淋菌・クラミジア・梅毒など他の性感染症も発症している可能性が高いため、セットプランもご用意しております。症状や既往歴などをもとに検査プランをご提案いたしますので、お困りの方は一度当院にご来院ください。
- 性器ヘルペス視診
- 3,980
- ヘルペス抗原検査(ぬぐい)
- 9,800
- ヘルペス治療(3日分)
- 4,980
口唇ヘルペスと性器ヘルペス よくあるご質問
A.
原因となるウイルスはどちらも「単純ヘルペスウイルス(HSV)」ですが、口唇ヘルペスは主にHSV-1、性器ヘルペスは主にHSV-2によって引き起こされます。感染部位も異なり、口唇ヘルペスは口の周囲、性器ヘルペスは性器や肛門周囲に症状が現れます。
A.
はい、あります。口唇ヘルペスに感染している人がオーラルセックスを行うことで、相手の性器にHSV-1が感染し、性器ヘルペスを引き起こすことがあります。オーラルセックスも性感染症の感染経路の一つです。
A.
はい。ヘルペスウイルスは神経に潜伏する特徴があり、疲れ・ストレス・免疫力の低下などをきっかけに再発することがあります。再発の頻度には個人差がありますが、抗ウイルス薬を使った抑制療法で再発頻度を減らすことが可能です。
A.
いいえ。性器ヘルペスは再発リスクが高い感染症です。現在、ウイルスを完全に排除する治療法は確立されておりません。
A.
主な副作用として、腹痛、下痢、腹部不快感、吐き気、頭痛、腎障害などが報告されています。特に腎障害に関しては重要なので投与量に応じて腎機能を検査します。少しでも違和感がありましたら当院にご相談ください。
A.
はい、無症状でもウイルスが排出され、他人に感染する可能性があります。自覚症状がないまま感染させてしまうケースも多いため、特にパートナーとの関係では注意が必要です。
A.
視診もしくは病変ぬぐいにより検査可能です。
医師による視診のもとヘルペスと特定できた場合、そのままお薬を処方いたします。また病変ぬぐいの場合、症状が強い時期であれば水ぶくれや潰瘍から分泌物を採取し、単純ヘルペスウイルス1型と2型の有無を検査します。病変ぬぐいで陽性を得れば、確定診断となります。
A.
感染する可能性があります。基本的に性行為、オーラルセックスによって感染しますが、とくに有症状時は感染力がとても強いため、お風呂やトイレ、コップや箸の共用などでの感染にも気を付けましょう。