性病に感染した状態で、検査や治療を行わずに放置していると男女ともに不妊症になってしまうことがあります。特にクラミジアや淋菌に感染したときに不妊症になってしまうことが多いと言われています。

性病の中には、妊娠中に感染するとお腹の中にいる胎児に悪い影響を及ぼす病原体があります。

本日は性病と不妊症の関係についてお話します。

性病が不妊に繋がる原因

外性器における性病への感染は女性では尿道や腟口、男性では尿道において起こります。すぐに治療を受けると、感染は広がることなく治癒します。

治療をせずに放置しておくと、病原体は、体の外から中へ進んでいきます。女性では腟→子宮→卵管→腹腔内(お腹の中)、男性では尿道→精管→精巣上体というように感染が広がっていきます。すると様々な場所で炎症が起こり、その臓器の本来の役割を果たすことができなくなります。

生殖器は妊娠成立に大切な役割を担っているので、これらの臓器がうまく働かなくなると不妊になってしまいます。

<女性>性病が不妊症になる原因

まずは妊娠が成立するときにどのようなことが起こっているのかをお話しします。女性の卵巣の中には卵胞がたくさんあり1か月に1度、卵胞は卵巣表面の膜を突き破って出てきます。

このことを排卵と言います。排卵した卵は卵管采でキャッチされ卵管の中を通ります。そして卵管の中で精子が来るのを待ちます。

精子が腟から外子宮口を通って子宮の中に到達、無事に卵管までたどり着くことができると、卵管膨大部というところで受精が起こります。受精卵は少しずつ成長しながら、卵管の中を通ります。子宮まで到達すると子宮内腔に着床し、妊娠が成立します。

このように妊娠が成立するためには卵管が大きな役割を果たしています。しかし、卵管の太さは1㎜程しかありません。何らかの原因で、炎症が起こると卵管はすぐに塞がってしまいます。

すべての性病において卵管の周りに炎症を起こす可能性があります。特に気を付けないといけないと言われているのは、クラミジアと淋菌です。クラミジアや淋菌は卵管周囲を好んで炎症を起こします。このため、感染を放置していると、卵管の中が癒着(くっついてしまうこと)してしまって卵子が通ることができなくなってしまいます。

<男性>性病が不妊症になる原因

まずは射精するときの精子の通り道についてお話しします。精子は精巣の中にある精細管というところで作られます。作られた精子は精巣上体という管の中に蓄えられています。

性的刺激があると、精子は精管に押し出され精管膨大部に運ばれます。途中で精嚢や前立腺から排出された分泌液と混ざりあい、精液となって、尿道を通って射精されます。

クラミジアや淋菌への感染は尿道で起こりますが、これらの病原体は精子の通り道に好んで感染するので、治療せずに放置していると、精管を通って精巣上体まで到達してしまいます。

精管は直径3㎜の細い管です。クラミジアや淋菌に感染すると、この細い管の中に炎症や癒着を起こしてしまい、精子が通ることができなくなってしまいます。また感染が精巣本体にまで進んでしまうと、質が良い精子を作ることができなくなってしまいます。

性病による不妊症を予防する方法

性行為を行うときには正しい方法でコンドームを使用し、性病に感染するのを防ぎましょう。

パートナーがクラミジア・淋菌に感染しているときには、コンドーム装着だけでは感染を100%防ぐことはできません。自分もパートナーも治癒していることを確認するまでは性行為を控えてください。

感染したかもしれないという疑いがあるとき、性器の周りに症状があるときには、すぐに病院へ行って検査を受けましょう。すぐに治療を受けると、炎症が広がっていく前に治すことができ、卵管や精管の炎症や癒着を防ぐことができます。

妊活中に特に注意が必要

お腹の中にいる胎児に感染してしまうと、胎児に悪影響を及ぼす可能性が高い性病があります。

産道から感染してしまう病原体としては、クラミジア、淋菌、性器ヘルペス、コンジローマなどがあります。これらの性病は流産や早産、死産の原因となることがあります。無事に妊娠を継続できたとしても、出産するときにこれらの感染症が治癒しておらず、子宮口や腟内にできものができている場合には、経腟分娩を行うと赤ちゃんに肺炎や結膜炎などが起こる可能性が高くなります。このため帝王切開を行って感染を防ぎます。

近年増加している梅毒も、妊娠中に感染すると胎児にも感染してしまいます。流産、早産や死産の原因となります。無事に生まれてきた場合にも、赤ちゃんが先天梅毒という重篤な病気になり、知的障害や骨の発達異常など様々な症状が出ます。

今後、妊娠を希望している方は、ぜひブライダルチェックを受けてこれらの感染症に罹っていないかどうかを調べることをおすすめします。

性病と不妊の関係まとめ

性病は男女ともに生殖器において癒着や炎症を起こしてしまいます。このため放置しておくと、将来不妊症になってしまう恐れがあります。

特にクラミジアや淋菌において不妊症となる危険性が高いといわれています。クラミジア・淋菌に感染すると尿道から膿が出たり、おりものの様子が変わったりと症状が出ることもありますが、何も症状が出ないこともよくあります。パートナーに感染が判明した時や、コンドームを使用しない危険な性行為を行った時、オーラルセックスをした時には、ご自身も感染している可能性が高まります。早めに検査をして早めに治療を受けると、生殖器に及ぼす影響は少なくて済みます。

また、妊娠中に感染してしまうとお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす性病も多数あります。妊娠を考えている女性やそのパートナーの方は、妊活を行う前にブライダルチェックを受けて何らかの感染症に罹っていないかを確認するようにしましょう。

性病のご相談はなかなか言いづらいことかもしれません。ただ放置しておくと、赤ちゃんが欲しいのに授かることができなくなってしまうかもしれません。気になる時には早めにご相談ください。