C型肝炎は、C型肝炎ウィルスに感染することで肝臓の炎症を引き起こす病気です。C型肝炎ウィルスは血液を介して感染し、性行為によって感染することもあります。特に出血を伴うような性行為(アナルセックスなど)の場合、感染リスクが高くなります。

C型肝炎は感染しても自覚症状がほとんどないため、知らず知らずのうちに肝臓の病気が進行することがあります。

C型肝炎の症状を知ることは、自分の健康状態を把握するだけでなく、家族やパートナーに感染させないためにも重要です。C型肝炎の症状について正しく理解し、早期発見・早期治療を目指しましょう。

C型肝炎は感染しても自覚症状がほとんどないのが特徴

C型肝炎の一番の特徴は、感染しても自覚症状がほとんどないことです。このため、感染に気づかずに病気が進行することがあります。C型肝炎は慢性化すると肝硬変や肝がんになるリスクが高くなります。

C型肝炎の診断は血液検査で行い、治療は抗ウィルス薬による内服治療が中心となります。C型肝炎は早期発見すると高い確率でウィルスを除去できる病気です。C型肝炎に感染した疑いがある場合には、症状がなくても一度検査を受けることが大切です。

C型肝炎の症状

C型肝炎の症状は、感染しても自覚症状がないことが多いです。しかし、一部の人は感染してから2週間~6ヶ月の間に急性肝炎を発症し、次のような症状が見られます。

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 黄疸
  • 褐色尿

このような症状は2~12週間続き、その後一部の人は自然にウィルスが対外に排出されるとされています。感染から6ヶ月経ってもC型肝炎ウィルスが対外に排出されなければ、慢性肝炎へと移行します。

慢性肝炎に移行すると、肝硬変や肝がんに進行するリスクが高くなります。肝硬変や肝がんになると、黄疸、全身のかゆみ、むくみ、腹水などの症状が現れます。

C型肝炎の症状①自覚症状がほとんどない

肝臓は再生能力の高い臓器であるため、炎症が進行してもすぐには機能低下が起こりません。また、肝臓が病気に冒されて徐々に機能低下しても、自覚症状がでにくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。そのため、C型肝炎の感染した人のほとんど(約70~80%)は無症状であるといわれています。

C型肝炎の症状②発熱

発熱はウィルスに対する免疫反応の1つで、急性肝炎の前駆症状として現れます。のどの痛みなどを伴うこともあり、風邪と間違うことも少なくありません。また、発熱が治まってもウィルスが体内に残って慢性肝炎に移行することが多いため、C型肝炎に感染した疑いがあるときには早めに医療機関を受診しましょう。発熱のほかに、黄疸や褐色尿が見られる場合は特に注意が必要です。

C型肝炎の症状③嘔吐

C型肝炎の症状として嘔吐がある場合は急性肝炎の可能性があります。嘔吐は、肝臓の機能低下や胆汁の流れの障害によって引き起こされると考えられています。

嘔吐がある場合は、脱水や電解質のバランスの乱れに注意が必要です。

C型肝炎の症状④黄疸

黄疸は皮膚や白眼が黄色くなる症状です。ビリルビンは通常、肝臓や胆管を通って尿や便に混じって体の外に排出されます。しかし、C型肝炎によって肝臓の機能が低下すると、血液中のビリルビンが肝臓や胆管をスムーズに通過できずに蓄積し、皮膚に沈着して黄疸が起こります。

黄疸はC型肝炎の進行や慢性化の兆候となるので、気づいたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

C型肝炎の症状⑤褐色尿

黄疸のある人の多くは尿の色が紅茶のように濃くなります(褐色尿)。褐色尿は、肝臓の機能低下や胆汁の流れの障害によって、血液中のビリルビンが尿中に排出されることによって起こります。

褐色尿がある場合は、肝臓の炎症が進行している可能性があります。黄疸や褐色尿が見られるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

C型肝炎感染経路別の症状

C型肝炎ウィルスは血液を介して人に感染します。C型肝炎ウィルスは感染すると主に肝臓に影響を及ぼすので、性行為でC型肝炎に感染した場合、性器や肛門に症状が出ることはほとんどないとされています。

C型肝炎の症状を放置してしまうリスク

C型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まりますので、早期発見・早期治療が重要です。ここでは、C型肝炎の症状を放置すると起こり得るリスクを紹介します。

  • 肝硬変

肝臓に炎症が続くと、肝臓は修復しようと働きますが、何度も修復している内に肝臓が硬くなって機能を失ってしまうことがあります。これが肝硬変の状態です。肝硬変の症状は初期にはほとんどないことが多いですが、進行すると全身倦怠・食欲不振・体重減少・むくみ・黄疸・腹水・手の震え・肝性脳症などが現れます。肝硬変には根治治療薬がないとされていて、症状への対症療法が中心になります。進行すると肝不全になり、命に関わることがあります。

  • 肝がん

肝硬変の方の約20%が10年以内に肝がんを発症すると言われています。肝がんは、肝臓の細胞が異常に増殖することで起こります。肝機能に低下により、肝炎や肝硬変での症状に加え、進行すると腹部にしこりや痛み、圧迫感などの症状が現れることがあります。肝がんは早期に発見すれば治療が可能ですが、進行すると予後が悪くなります。

  • 他人への感染

C型肝炎ウィルスは、血液を介して人に感染します。C型肝炎の感染力はB型肝炎に比べて非常に弱いとされていますが、放置すると性行為で出血したときに他人にうつしてしまう可能性があるので注意が必要です。

C型肝炎症状のまとめ

  • C型肝炎は性感染症の一種で、出血を伴うような性行為で感染することがある
  • C型肝炎に感染しても、自覚症状がほとんどない場合が多い
  • 黄疸はC型肝炎の進行や慢性化の兆候となるので、気づいたらすぐに医療機関を受診することが大切
  • C型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まるので、早期発見・早期治療が重要

C型肝炎は自覚症状が出ないことが多く、気づいたときには病気が進行してしまっていることが少なくありません。自分の健康はもちろん、周りの人の健康を守るためにも、異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。