トリコモナスは、クラミジアに並んで感染者が多いといわれている性感染症です。トリコモナスの感染者が多い理由に、潜伏期間に個人差があったり無症状感染者が多かったりする点が挙げられます。

本記事では、トリコモナスの潜伏期間について解説します。症状がなかったときは放置しておいても大丈夫なのか、自然治癒するのかについても触れていますので、感染の心配がある方はぜひ参考にしてみてください。

トリコモナスの潜伏期間

トリコモナスの潜伏期間は、男性の場合は約10日、女性の場合は5~14日前後とされています。しかし、なかには6ヵ月後に症状が現れる人もいるなど、発症のタイミングは人によって大きく異なります。

これは、感染した膣トリコモナス原虫の数や繁殖力が必ずしも一定ではないからです。また、感染者の免疫反応強弱によっても症状が出る時期に違いがあります。

さらに、感染しても無症状という方がいるのもトリコモナスの特徴です。特に、男性は症状が現れない方が多い傾向にあります。つまりは、潜伏期間なのか無症状感染なのか、はたまた感染していないのかがハッキリしないということです。

トリコモナスの感染が心配なときは、潜伏期間や症状の有無に囚われすぎず、積極的に検査を受けるようにしましょう。

トリコモナスは放置していても自然治癒しない

トリコモナスは症状が現れない場合が多い性感染症ですが、症状がないからといって放置するのはよくありません。残念ながら、トリコモナスは放置していても自然治癒しないためです。治療するためには、専用の内服薬や膣錠が必要です。

もし感染を放置してしまうと、男性の場合は前立腺炎や尿道炎に、女性は宮内膜炎や卵管炎などに進行するリスクがあります。また、女性は不妊や早産を引き起こす可能性もあるため注意してください。

トリコモナスの症状が見られたり、近しい相手に感染が確認されたりしたときは、早期検査・早期治療に踏み切ることが大切です。

トリコモナスの潜伏期間中の検査について

トリコモナスは、感染機会から24時間以上経過してから検査が可能になります。症状が出ていない潜伏期間中であっても検査できるため、不安な方はできるだけ早く検査をおこないましょう。

検査方法は男女によって異なります。男性の場合は尿や膿、女性の場合は膣分泌液を採取するのが基本です。生理中でも検査は受けられますが、血液量が多いと正確な検査ができないため、経血のピーク時は避けた方がよいでしょう。なお、膣トリコモナス原虫が血液に寄生することはないため、血液検査はおこないません。

病院での検査の場合、結果が出るまで4~5日ほどかかりますが、なかには即日結果がわかる検査もあります。すぐに治療を開始したい方は、即日検査をおこなっているクリニックをチェックしてみましょう。

病院へ行くのに抵抗がある方や、時間がなくて行けないという方は、検査キットでセルフ検査をすることも可能です。この場合、自分で検体を採取して検査機関へ郵送します。クリニックと提携している検査キットであれば、結果が陽性でもオンライン治療を受けられるので安心です。

トリコモナスの潜伏期間中の感染について

トリコモナスだけに限らず、性病は潜伏期間中であっても感染する可能性があります。潜伏期間は「症状が見えるようになるまでの期間」であり「感染するまでの期間」ではありません。すなわち、潜伏期間中はすでに感染している状態ということです。

トリコモナスは潜伏期間に個人差があったり、無症状の感染者も少なくなかったりすることから、発見が遅れがちです。また、もし潜伏期間中に複数人と性関係を持ってしまったら、感染経路の特定が非常に困難になります。

感染を拡大させないためにも、「コンドームをしっかりつける」「不特定多数の相手と関係を持たない」「衛生的な環境で性行為をおこなう」といった対策を意識しましょう。

トリコモナスの潜伏期間まとめ

トリコモナスの潜伏期間はおおよそ10日前後とされていますが、個人差が大きく、長い人だと6ヵ月にもおよぶといわれています。また、無症状の感染者も少なくないため、そもそも「潜伏期間」という概念すらないケースもあります。

しかし、感染してしまった以上、潜伏期間中であっても感染するリスクはありますし、無症状でも感染させてしまう恐れもあります。

トリコモナスは性行為だけでなくタオルやお風呂を介して感染する性感染症のため、性行為がなかったからといって安心はできません。

もし気になる症状が現れたら、迷わず検査を受けることをおすすめします。いまではセルフで検査できるキットもあるため、ご自身に合った方法でおこなってみてください。