痛みやかゆみといった特徴的な症状がないぶん、尖圭コンジローマへ感染していることに症状が出ていても気が付きにくいケースもあります。自他ともに自覚症状がないぶん、感染するリスクも高い病気と言えるでしょう。本記事では尖圭コンジローマの潜伏期間について解説します。

また、自然治癒ができるのかどうかについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

尖圭コンジローマの潜伏期間

尖圭コンジローマの潜伏期間は、およそ数週間から2~3ヶ月程度です。この期間に陰茎、陰部、陰嚢、肛門、口大小陰唇に1〜3ミリほどの表面がザラザラとしたイボがでてきます。

また、尖圭コンジローマは性行為によって感染しますが、キスによって口から口へと感染したり、性器挿入をしなくても尖圭コンジローマの発症している部分が粘膜などに触れても感染します。さらに、医療従事者の手指や医療器具を介して感染することもあるため、いつ感染したかが明確ではないケースもあります。

このように、感染経路が多様であるため、感染経路の特定ができないケースもあり、気が付いたら尖圭コンジローマになっていたということもあり得るのです。そのため、潜伏期間を正確にカウントすることが難しくなります。

また、尖圭コンジローマについては、治療をして陰性反応が出たとしても、ウイルスが潜伏している可能性を考慮して、治療終了後もさらに3ヶ月間は経過を観察しておくことが望ましいとされています。

この期間も潜伏期間と考えて、感染予防に努めておくとよいでしょう。

国立感染症研究所
厚生労働省
持田製薬株式会社

尖圭コンジローマは放置していても自然治癒しない

尖圭コンジローマは自然治癒も見込める良性病変であるため、20〜30%は3ヶ月以内に自然消退するとされています。しかし、完全に自然治癒をするものではありません。

もしも、自然治癒を見込んで尖圭コンジローマを放置すると、症状が出ていなかった方も症状を発症します。また、症状が出ている方がそのまま放置すると、どんどん症状であるいぼの範囲が広がります。いぼの範囲が増えてくれば、当然ながらほかの人に感染させる可能性も高まり、治療に時間もかかってくるでしょう。

また、尿道や肛門にいぼが到達すると治療が難しくなることもあります。

さらに、尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルスは低リスク型と高リスク型があります。もしも高リスク型に感染していた場合、女性では子宮頸がんの発症する可能性が極めて高くなります。ほかにも不妊症となるリスクもあるといわれているのです。

放置していても自然治癒しないだけでなく、ほかの病気を発症するリスクが高まることから、自然治癒を期待せずに治療をすることが望ましいと考えられています。

尖圭コンジローマの治療は、薬物療法でウイルスを排除したり、できているいぼを外科的治療で切除します。

国立感染症研究所
持田製薬株式会社

尖圭コンジローマの潜伏期間中の検査について

尖圭コンジローマは本来ならばまずは問診をして症状を確認することから検査がスタートしますが、尖圭コンジローマの潜伏期間中は症状が出ないため、問診ができません。

また、症状が出ていないことから視診もできません。

尖圭コンジローマは概ね問診と視診で診断がつきますが、これらに加えて、症状が出ている部分の組織を綿棒でこすり取る細胞診を行うこともあります。

しかし、潜伏期間中で症状が出ていないため細胞診もできません。

つまり、尖圭コンジローマは潜伏期間中の検査が極めて難しいといえます。

ただし、女性においては性行為にて感染した可能性が高い場合においては、子宮頚管部の粘膜をスポンジでこすって細胞を採取することは可能です。

男性においては潜伏期間中に検査を受けて、尖圭コンジローマの有無を確認することは極めて難しいと考えておいてよいでしょう。

国立感染症研究所

尖圭コンジローマの潜伏期間中の感染について

尖圭コンジローマの潜伏期間中は症状が出ていませんが、原因となるウイルスを保有しているため、人にうつす可能性は高いといわれています。一般的には症状が出ている部分の分泌液を介して人に感染させると考えられていますが、血液や分泌液の濃厚接触でも感染するリスクが十分にあるため、感染対策が必要といえます。

また、尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルスは、感染した人に免疫力があった場合には自然に排除されるウイルスです。しかし、免疫力が低くなっていると、感染したウイルスが活性化して症状を引き起こします。これが、症状が出る人と出ない人がいる理由です。

症状が出ている方は免疫力が低くなっている証拠のため、ほかの性感染症を発症するリスクがあります。そのため、尖圭コンジローマの潜伏期間中は、人にうつさないあるいは人からほかのウイルスをもらわないようにするためにも性行為を控えたほうがよいでしょう。

山口県感染情報センター

尖圭コンジローマの潜伏期間まとめ

尖圭コンジローマの潜伏期間は数週間から2~3ヶ月程度と潜伏期間が長いことが特徴です。そのため、いつ感染したのかが分かりにくく、気が付いたら多くの人に感染させているということにもなりかねません。

尖圭コンジローマは放置をしていても治る可能性はあるものの、必ず自然治癒するものではありません。放置することで症状が悪化したり治療が難化したりすることもあります。

また、子宮頸がんのリスクを高めるなど命に直結する可能性も高まります。

そのため、尖圭コンジローマに感染しているかもしれないと考えた場合には、早めに検査や治療を受けるのが望ましいです。

しかし、一方で、尖圭コンジローマは症状が出ていない場合に検査が難しい傾向にあり、とくに男性では症状が出ていない場合の検査は困難です。また、症状は出ていないが感染しているという可能性もあります。

もしも自身が尖圭コンジローマに感染しているかもしれないと考えた場合には感染拡大を控えるために性行為を控えましょう。

パートナーに尖圭コンジローマの感染が確認された場合にはその旨を医師に伝えることで検査を受けられる可能性もあるため、一度医療機関に相談してみてください。