クラミジアは性行為で感染する病原体のうち最も頻度が高い感染症です。男女ともに自覚症状は出にくく、検査を受けなければ診断することは困難です。

1回の性行為において、相手に感染させてしまう確率が高いことが知られています。検査を受けずにいてクラミジア感染を放置していると、知らないうちに感染を広めてしまいます。

今回は、クラミジアの潜伏期間や放置した場合の末路についてお話しします。

クラミジアの潜伏期間

潜伏期間というのは、感染してから症状が出るまでの期間のことを言います。クラミジアの潜伏期間は1〜3週間と言われています。

男女ともにクラミジアは自覚症状が出にくいことで有名です。このため、症状が出た時期から感染した時期をさかのぼって計算することは困難であり、いつクラミジアに感染したのかははっきりとはわからないことが多いです。

複数のパートナーがいる場合においてどの相手から感染したのかを見つけることも困難です。

クラミジアは放置していても自然治癒しない

クラミジアは自覚症状が出にくいため、なかなか診断に至らず長期間放置してしまうことがあります。放置しておいても自然に治ることはありません。

むしろ感染がどんどん奥深くへと進んでいきます。進んで行った場所で炎症を起こしてしまいます。炎症が起こると臓器は癒着(ゆちゃく;互いにくっつくこと)し、様々な障害を起こします。

【女性】クラミジアを放置することのリスク

女性ではクラミジア感染は、腟→子宮→卵管→腹腔内(お腹の中)へと進みます。卵管は細い管なのでクラミジアに感染すると内腔が塞がってしまいます。

卵管は妊娠が成立する場所であり、受精するときに大切な役割を担っている臓器です。クラミジアによって炎症が起きてしまうと、うまく受精できなくなり、将来不妊症になってしまいます。

お腹の中へ感染が進むと、腹腔内に慢性の炎症が起こり周囲の臓器の癒着が起こります。特に肝臓の周りに炎症を起こすことをFits-Hugh-Curtis症候群といい、急激な腹痛や腸閉塞を起こします。

【男性】クラミジアを放置することのリスク

男性ではクラミジア感染は、尿道→精管→精巣上体へと進みます。精巣上体に炎症が及ぶと質の良い精子を作ることができなくなってしまいます。

精管が詰まってしまうと、精子が通れなくなり射精がうまくできなくなります。そして、将来不妊症になってしまいます。

感染している妊婦が赤ちゃんを出産したときには、赤ちゃんがクラミジアに産道感染してしまいます。結膜炎になって失明してしまったり、肺炎になって呼吸が苦しくなったりします。これらの症状は重症化する可能性もあります。このため妊婦健診ではクラミジアの検査を行います。

クラミジアの潜伏期間中の検査について

潜伏期間においても検査を受けることは可能です。症状はなくても、感染しているのであれば病原体は存在しますので、PCR検査によって検出することは可能です。

まれではありますが、検査を受けるタイミングが早すぎて偽陰性となることがあります。感染が疑われる行為から24時間を過ぎていれば検出できると言われています。

先程も述べた通り、クラミジアは男女ともに症状が出にくく、症状だけを頼りにしていては診断することができません。少しでも怪しいなと思うことがあれば検査を受けることをおすすめします。

クラミジアは1回の性行為で感染してしまう可能性は30〜50%と高いです。特に、パートナーがクラミジア陽性だったとき、コンドームを使用しなかったとき、オーラルセックスをしたときにはご自身も感染している可能性がありますので、早めに検査を受けましょう。

不特定多数の相手と性行為を行っている場合や、複数の性的パートナーがいる場合には、症状が何もなくても定期的に検査を受けることが望ましいと考えられます。クラミジアの検査を受けることで早期発見することができ、ご自身は早めに病気を治すことができます。また、相手に感染させてしまうことを防ぐことができます。

クラミジアの検査方法について

検査としては次のようなことを行います。

女性では子宮頸部や腟内を拭った液、男性では尿を検体としてPCR検査を行います。咽頭感染が疑われる場合にはうがい液で検査します。いずれも検査による痛みはありません。

クラミジアの潜伏期間中の感染について

潜伏期間において、症状がなくても感染しているのであればその場所にはクラミジアは存在しているということになります。よって潜伏期間中に性行為などを行い接触することがあれば、相手にも感染させてしまいます。

たった1回の性行為においてもクラミジアに感染する可能性は高いです。クラミジアは、性器だけでなく咽頭(のど)や直腸にも感染します。このため腟での性行為だけではなく、オーラルセックスやアナルセックスにおいても感染します。

クラミジアが眼に感染してしまうこともあり、感染した人の体液がついた手で眼を擦って感染することもあります。性行為の後はしっかり手洗いをしましょう。

潜伏期間中は気づかないうちに相手に感染を広げてしまいます。クラミジア感染が疑わしいときには性的な接触を控え、早めに検査、治療を受けましょう。

クラミジアの潜伏期間まとめ

クラミジアには数週間の潜伏期間が存在しますが、潜伏期間においても性行為があれば、相手に感染させてしまいます。症状が出ないことが多く、いつが潜伏期間であったのかはわからないケースが多数見られます。

クラミジア感染を放置しておくと、不妊症になったり急性腹症になったりします。自然に治ることはなく、放置すると治りにくくなってしまいます。

男女ともに自覚症状が出にくく、症状だけでは見つけることはできません。コンドームなしで性行為した場合や多数のパートナーがいる場合など、思い当たることがあれば積極的に検査を受けましょう。検査することで発見でき、適切な治療につながります。

クラミジアの検査は痛みを伴うものではありません。

ご自身の健康を守るため、大切なパートナーへ感染を広げないためにもクラミジアの検査を受けて頂きたいと思います。ご自身が感染していると言われた時にはパートナーの方にも検査、治療を受けるようにすすめてください。

お互いに治癒したことを確認後に、健康的な性生活を送って頂くのがよいと考えます。