淋病とは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という原因菌への感染によって引き起こされる性感染症のひとつです。

コンドームを使用しない性行為による感染率は30〜50%ともいわれており、感染リスクが高い性感染症といえます。

性行為から何日ほどで淋病の症状が現れるのか、潜伏期間が気になる方も少なくないでしょう。

淋病は他の性感染症に比べて潜伏期間が短いのが特徴ですが、発症に気付かないまま無症状で経過することもあります。

感染に気付かずに放置してしまえば、重症化のリスクが高まるため注意が必要です。

今回は、淋病の潜伏期間や潜伏期間中の検査、自然治癒などについて解説します。

淋病の潜伏期間

淋病に感染してから症状が出るまでにどのくらいの期間がかかるのでしょうか。ここでは、淋病の潜伏期間や症状について解説します。

淋病の潜伏期間は2~7日

淋病への感染から発症までの潜伏期間は2〜7日です。他の性感染症の潜伏期間と併せてみていきましょう。

淋病:2~7日
性器ヘルペス:2~10日
トリコモナス:5~14日
クラミジア:1~3週間
HIV:2~4週間
梅毒:3~6週間
尖圭コンジローマ:4~8週間

このように、淋病は他の性感染症に比べて症状が出現するまでの期間が短いという特徴があります。

淋病の症状:男性の場合

男性が淋病を発症した場合の主な症状は、下記の通りです。

・尿道の違和感
・尿道のかゆみ
・排尿時の痛み
・尿道からの膿

男性の場合、感染の原因と考えられる性行為から4~5日経ったあたりで尿道に違和感を覚えることが多いです。

その後、次第にかゆみや痛みが現れます。炎症が強くなれば、激しい排尿痛や尿道からの膿などもみられるようになります。

ただし、このような症状は全ての人に現れるわけではありません。最近では症状がはっきりと現れないケースも報告されています。

淋病の症状:女性の場合

女性が淋病を発症した場合の主な症状は、下記の通りです。

・おりものの増加
・おりものの色の変化(黄~黄緑)
・性交時の痛み
・不正出血
・外陰部のかゆみ
・頻尿(排尿の回数が増える)
・排尿時の痛みや下腹部の違和感

女性は男性に比べて無症状であるケースが非常に多いです。そのため、淋病への感染に気付かないまま身体の中で炎症が進んでしまう危険もあります。

炎症が進んでしまった場合、卵管炎・腹膜炎・肝周囲炎などを引き起こすことがあり、不妊症や流産のリスクも高まります。

また、淋病に感染している女性が出産した場合には、新生児にも感染し、淋菌性結膜炎を発症してしまう可能性があります。

淋病の症状:男女共通(肛門)

アナルセックスによって淋菌が肛門に感染した場合の症状は、下記の通りです。

・肛門の違和感
・肛門のかゆみ
・下痢
・血便
・肛門性交時の痛み

淋菌は尿道や膣だけでなく大腸にも感染します。コンドームを使用せずにアナルセックスを行っている場合には、性感染症への感染リスクが高くなるため注意しましょう。

淋病の症状:男女共通(のど)

オーラルセックスによって、のどに淋菌が感染した場合、下記のような症状が現れることがあります。

・のどの違和感
・のどの腫れや痛み
・咳
・発熱

風邪のような症状のため軽視してしまいがちですが、放置すると咽頭炎や扁桃炎を引き起こし、高熱や強い痛みを伴うことがあります。

淋病の症状:男女共通(目)

淋菌に感染した精液や膣分泌液、膿などが付着した手で目に触れた場合、結膜炎を発症することがあります。淋菌性の結膜炎では、下記のような症状が特徴的です。

・目の充血
・まぶたの裏の粘膜が赤く腫れる
・黄色の目やに出る

このような症状を放っておけば、最悪の場合、失明する危険も考えられます。目に違和感を覚えた際には、医療機関を受診するようにしましょう。

淋病は放置していても自然治癒しない

淋病は放置していても自然治癒することはありません。

無症状だとしても、放置してしまえば徐々に体内で炎症が広がり、重症化する危険があるため注意が必要です。

また、放置すれば男女ともに不妊症のリスクも高まります。より良い将来のためにもパートナーとともに検査を受けることが大切です。

なお、不特定多数の方と性的な接触がある場合、治療をしても再度感染するリスクが高くなります。

不特定多数の方と性的な接触はできるだけ避け、性行為の際にはコンドームを正しく使用するようにしましょう。

淋病の潜伏期間中の検査について

不安に思う性行為からあまり日数が経過してない場合、検査を受けられるのか疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

淋病の検査は、一般的に原因と考えられる接触から24時間経過していれば可能です。

具体的には、尿検査・膣ぬぐい液・尿検査などで感染の有無を調べます。オーラルセックスでのどへの感染が疑われる場合には、うがい液を用いて行います。

性行為からすぐに検査が受けられる医療機関もありますので、心配な方は相談してみてください。

潜伏期間や検査可能期間は性感染症の種類によって異なりますが、淋病の場合は早期に検査が受けられます。症状が進行する前に治療を開始することが大切です。

また、淋病を発症している方はクラミジアを合併していることが多いのも特徴です。淋病とともにクラミジアの検査を受けるようにしましょう。

淋病の潜伏期間中の感染について

たとえ潜伏期間であっても、性的な接触があれば感染を広げてしまう可能性はあります。具体的には下記のような行為で感染する可能性が考えられます。

・性器同士の接触
・膣性交
・オーラルセックス
・アナルセックス

淋病も他の感染症と同様に、パートナーとうつし合ってしまうケースが非常に多いです。そのため、症状の有無にかかわらず、パートナーとともに性感染症の検査を受けておくと安心です。

不安に感じるような症状などがあれば、不特定多数の方との接触は避け、まずは検査を受けるようにしましょう。

淋病の潜伏期間まとめ

淋病はコンドームを使用しない性行為によって、30〜50%の確率で感染するといわれています。

潜伏期間が比較的短いため何らかの症状が現れれば感染に気づきやすいともいえますが、症状に気付かないケースも多いです。

また、クラミジアなどの性感染症と併発していることもあります。

放置すれば重症化したり不妊症のリスクが高まったりすることも考えられるため、無症状であっても専門機関で検査を受けておくと安心です。