B型肝炎は、B型肝炎ウィルスに感染することで肝臓に炎症を引き起こす病気です。性感染症の一種で、性行為や血液の接触によって感染する可能性があります。
B型肝炎は放っておくと肝硬変や肝がんに進行する可能性があり、重篤な合併症を引き起こすことがあります。
B型肝炎の症状を知ることは、自分の健康状態を把握するだけでなく、家族やパートナーに感染させないためにも重要です。B型肝炎の症状について正しく理解し、早期発見・早期治療を目指しましょう。
B型肝炎の特徴的な症状は黄疸
B型肝炎の症状で一番特徴的なのは黄疸です。黄疸とは、肝機能が低下してビリルビンという物質が体内に蓄積することで、皮膚や眼球が黄色くなる症状です。
黄疸はB型肝炎の進行や慢性化の兆候となるので、気づいたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
B型肝炎の症状
B型肝炎の初期症状は、個人差がありますが、主なものは次の通りです。
- 発熱、頭痛、咽頭痛(のどの痛み)、全身倦怠などの風邪と似た全身症状
- 尿の色が濃くなる、黄疸が出るなどの肝機能障害の症状
- 肝臓周辺に鈍い痛みがある場合もある
B型肝炎の初期症状は感染してから1~6ヶ月の潜伏期間を経て現れます。感染後、約20~30%の方が急性肝炎を発症するとされています。
急性肝炎の場合、多くの方は症状が出てから2~3ヶ月の間に治癒します。しかし、まれに劇症肝炎に移行して、重症化し死に至ることもあります。
また、B型肝炎ウィルスを完全に排除することができずに持続感染することもあります。持続感染とは6ヶ月以上にわたって感染状態が続くことで、慢性肝炎や肝硬変、肝がんのリスクが高まります。
感染したと思われる時から1ヶ月以上経てば、血液検査によって感染が確認できます。
B型肝炎の症状①発熱、頭痛、咽頭痛、全身倦怠などの風邪と似た全身症状
B型肝炎の初期症状として発熱や頭痛、咽頭痛、全身倦怠などのような、風邪と似た全身症状が見られることが多いです。
ほかにも食欲不振や吐き気などが見られることもあり、これらは、B型肝炎ウィルスによって全身に炎症が生じたことで起こる症状です。これらの症状はほかの病気でも起こりやすい症状のため、なかなかB型肝炎の存在に気が付かないことも少なくありません。
炎症の程度が強くなるほど症状は強く出ますので、日常生活に支障が出るようなときは医療機関を受診し、原因を調べてもらいましょう。
B型肝炎の症状②尿の色が濃くなる、黄疸が出るなどの肝機能障害の症状
黄疸は皮膚や白眼が黄色くなる症状です。ビリルビンは通常、肝臓や胆管を通って尿や便に混じって体の外に排出されます。
しかし、B型肝炎によって肝臓の機能が低下すると、血液中のビリルビンが肝臓や胆管をスムーズに通過できずに蓄積し、皮膚に沈着して黄疸が起こります。黄疸のある人の多くは尿の色が紅茶のように濃くなります。
黄疸はB型肝炎の進行や慢性化の兆候となるので、気づいたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
B型肝炎の症状③
肝臓は右肋骨の下にあるので、痛みは右上腹部に感じられます。肝臓が腫れて、肋骨や周囲の臓器・神経を圧迫することで痛みを引き起こします。
肝臓周辺の痛みが強い場合や、風邪と似た全身症状、黄疸などの症状が伴うときには、早めに医療機関を受診しましょう。
B型肝炎感染経路別の症状
B型肝炎ウィルスは、血液や体液を介して人に感染します。キスや性交為の際には、B型肝炎ウィルスが含まれる唾液や精液・膣分泌物が、性器や口、肛門などの粘膜に触れることで感染する可能性があります。
性器や口、肛門からB型肝炎ウィルスに感染した場合、性器や口、肛門に出る症状はほとんどありません。
B型肝炎ウィルスは主に肝臓に影響を与えるため、性器や口、肛門には特徴的な炎症や膿などは見られることはないとされています。ただし、感染した性器や口、肛門からほかの性感染症にかかりやすくなることがあるので注意が必要です。
B型肝炎の症状を放置してしまうリスク
B型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まりますので、早期発見・早期治療が重要です。ここでは、B型肝炎の症状を放置すると起こり得るリスクを紹介します。
- 肝硬変
肝臓に炎症が続くと、肝臓は修復しようと働きますが、何度も修復しているうちに肝臓が硬くなって機能を失ってしまうことがあります。
これが肝硬変の状態です。肝硬変には根治治療薬がないとされていて、症状への対症療法が中心になります。肝硬変になると腹水(ふくすい)や静脈瘤出血などの合併症を引き起こすことが多く、進行すると肝不全になり、命に関わることがあります。
- 肝がん
肝硬変の方の約20%が10年以内に肝がんを発症すると言われています。肝がんは、肝臓の細胞が異常に増殖することで起こります。肝がんは早期に発見すれば治療が可能ですが、進行すると予後が悪くなります。
- 他人への感染
B型肝炎ウィルスは、血液や体液を介して人に感染します。放置すると、性交為や母子感染などで他人にうつす可能性があります。特に妊娠中の女性は、出産時に赤ちゃんに感染させるリスクが高いので注意が必要です。
B型肝炎症状のまとめ
- B型肝炎は性感染症の一種で、性行為や血液の接触によって感染する可能性がある
- 黄疸はB型肝炎の進行や慢性化の兆候となるので、気づいたらすぐに医療機関を受診する
- B型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まるので、早期発見・早期治療が重要
B型肝炎は感染経路が多様で、家族やパートナーにも感染させる可能性があります。自分の健康はもちろん、周りの人の健康も守るために、異常を感じたら早めに検査や医療機関へ受診しましょう。