性感染症の1つである尖圭コンジローマの原因と感染経路を知っておくことで、感染の予防につながるかもしれません。また、尖圭コンジローマは性行為以外でも感染する可能性があります。
本記事では尖圭コンジローマの原因と主な感染経路についてくわしく解説します。尖圭コンジローマの感染経路について正しい知識を持ち、感染を予防していきましょう。
尖圭コンジローマの主な感染経路
尖圭コンジローマとは、尖形コンジローム(Condyloma acuminatum)は、ヒトパピローマウイルス6、11型、ときに16型が原因となるウイルス性性感染症で、血液や分泌液を介して感染します。そのため、ヒトパピローマウイルス6、11型および16型に感染しないように対策をすることが必要です。
尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス6、11型の感染経路は次の通りです。
尖圭コンジローマ感染経路①性器→性器
尖圭コンジローマのおもな感染経路は性行為です。そのため、性器から性器へ感染することが多い感染症です。男性においては陰茎、陰部、陰嚢、肛門に1〜3ミリほどの表面がザラザラとしたイボのようなできものができます。女性も同様のできものができますが、痛みなどはありません。
このできものから分泌された分泌液へ接触、或いは粘膜同士が濃厚に接触すると感染するため、性器と性器の接触が最も感染する可能性が高まります。
尖圭コンジローマ感染経路②性器→肛門周囲
性器を肛門に挿入するいわゆる肛門性交も尖圭コンジローマの感染経路となります。また、性器を肛門内に挿入していなかったとしても、相手の肛門に尖圭コンジローマがあった場合にはそこに分泌液が触れるだけでも感染が成立することがあります。
尖圭コンジローマ感染経路③口→性器
口や舌を使って相手の性器を刺激するオーラルセックスでも、尖圭コンジローマに感染します。自分の口や唇、のどにヘルペスウイルスが潜んでいた場合には、口を通して性器へと感染します。また、尖圭コンジローマの症状であるいぼが陰部にできている状態の方の性器を口や舌で刺激することで、口に尖圭コンジローマを発症するリスクがあるのです。
口に発症した場合にも性器と同様にいぼができます。口の場合、口内炎と混同するケースもありますが、口内炎は痛みを伴いますが、尖圭コンジローマの場合は痛みを伴いません。もしも、性行為の際に口に痛みのないいぼがある場合には感染のリスクとなるでしょう。
尖圭コンジローマ感染経路④性器もしくは口→皮膚や粘膜の傷
性行為をしていないにもかかわらず、尖圭コンジローマに感染したという方の中には、皮膚や粘膜にできた傷から感染しているケースがあります。たとえば、性器を膣内に挿入していなかったとしても外陰部にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎があり、その部分に尖圭コンジローマの症状が出ている部分や分泌液、血液が触れるだけでも感染が成立します。
ほかにも、口に尖圭コンジローマの原因ウイルスがいる人とキスをしたが自分の口が乾燥していたあるいは、傷がついていたという場合にはその粘膜から感染するかもしれません。
傷口がしっかりと見えていなくても肌荒れの場合であっても感染する可能性があるため、皮膚や粘膜に傷ができている場合には、尖圭コンジローマに感染する行為を控えるようにしましょう。
尖圭コンジローマ感染経路⑤母→子
妊娠中の女性が尖圭コンジローマを発症すると、出産をするときに産道を通ってきた赤ちゃんが尖圭コンジローマの原因ウイルスであるヒトパピローマウイルスに感染する可能性が極めて高くなります。
赤ちゃんが尖圭コンジローマに感染すると、ごく稀ではあるものの赤ちゃんの呼吸器に感染し、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)を発症することがあります。
必ず発症するものではないものの、もしも再発性呼吸器乳頭腫症を発症した場合、一生を通して声がかれてしまうでしょう。
また、イボが大きくなってしまうと呼吸困難になり、命にかかわることもあります。
そのため、尖圭コンジローマに感染していることが妊娠中にわかったときには感染予防のために出産方法は帝王切開のみです。
日本では年間10万人あたり30人程度の感染割合とされていますが、1994年以降は増加傾向にあります。
尖圭コンジローマの原因として可能性がかなり低い感染経路
尖圭コンジローマの原因として可能性がかなり低い感染経路に交差感染があります。
交差感染とは医療従事者の手指や器具を通して感染することです。
医療従事者も安全対策に取り組んでいるため、可能性は極めて低いといえますが、性行為など身に覚えがないのに感染している場合には、交差感染も視野に入れるべきといえます。
参考
持田製薬株式会社
尖圭コンジローマの感染原因となる行為
尖圭コンジローマの感染原因となるのが性行為です。尖圭コンジローマに感染している人と性行為をすると約80%の割合で感染すると考えられています。
一般的に性感染症はコンドームをすることで感染が予防できると考えられています。しかし、尖圭コンジローマは感染する場所の範囲が非常に広いこと、性器から以外でも感染するリスクがあることから、コンドームのみでの予防は難しいといわれています。
また、潜伏期間が数週間から2~3ヶ月と非常に長いため、とくに複数のパートナーがいる場合には、感染者の特定が難しいというのも実情です。
さらに、近年は女性の感染者数が徐々に増加傾向にあるといわれています。
参考
国立感染症研究所
尖圭コンジローマの感染経路のまとめ
尖圭コンジローマは、性行為による感染が最も多い感染経路です。一般的な性感染症は、コンドームで予防できますが、尖圭コンジローマについてはコンドームのみで感染を完全に防ぐことは難しいといわれています。
そのため、尖圭コンジローマの症状であるいぼが陰部や口などに見られた場合には感染予防のために性行為を控えましょう。
また、尖圭コンジローマは母親が感染をしていた場合には産道を通して赤ちゃんにも感染する可能性があるほか、ごくまれですが、医療機関で感染することもあります。
尖圭コンジローマは性行為以外でも感染するという点を念頭に置いたうえで、感染して症状が出たという場合には早めに医療機関を受診して治療をしましょう。