淋病は「淋菌」に感染することで発症します。性感染症の一つですが、感染経路は性行為だけではありません。また、性器だけでなく咽頭や目にも感染する厄介な病気です。
淋病は放置してしまうと全身に症状が広がるリスクがあるため、早期治療・早期発見が大切になってきます。万が一に備えて、淋病の原因や感染経路といった基本的な知識を押さえておきましょう。
淋病の主な感染経路
淋病とは、細菌の一種である「淋菌」に感染して発症する性感染症です。多くの場合は性行為(膣性交・オーラルセックス・アナルセックス)によって感染しますが、手指を産道を介して感染するケースもあります。
ここでは、具体的な淋病の感染経路について解説します。
淋病感染経路①性器→性器
淋病の感染経路としてもっとも多いものが、性器から性器への感染です。男性は尿道、女性は膣に感染するケースが多いとされています。1度の性行為で感染する確率は30~50%とされており、非常に感染力の強い性感染症です。
<男性器に感染した場合>
淋病は男女ともに感染しますが、特に男性の感染者が多い傾向にあります。男性器に淋菌が感染すると、主に尿道に症状があらわれます。
・排尿時の強い痛み
・尿道の不快感・かゆみ
・尿道から出る白っぽい膿
・副睾丸の腫れ
淋病の感染に気づかず放置してしまうと、淋菌が前立腺や精巣まで入り込んでしまい、前立腺炎や精巣上体炎を発症するリスクが高まります。
<女性器に感染した場合>
・おりものの増加
・不正出血
・下腹部の痛み
・性交時の痛み
女性の場合は症状が出ない場合も多く、感染に気付かないケースも少なくありません。しかし、淋病を放置していると子宮内膜炎や卵管炎などを引き起こし、後遺症として不妊になる恐れがあります。
淋病感染経路②性器⇔咽頭
淋病の感染経路として近年増えているのが、オーラルセックスです。背景に、性病への誤った認識や、オーラルセックスの増加が挙げられます。性器から咽頭へ感染する場合もありますし、咽頭から性器へ感染する可能性もあります。
・のどの痛み
・のどの腫れ
・発熱
厄介なことに、咽頭に感染したときはほとんど症状が出ません。また、風邪の症状と似ていることから、放置してしまいがちです。結果として「知らないうちに感染を拡大させてしまう」といった事態が懸念されます。
淋病感染経路③咽頭→咽頭
淋病は、咽頭から咽頭へも感染します。通常のキスで感染するケースは稀だと考えられていますが、粘膜同士が接触するディープキスは感染のリスクがあります。
「性行為をしていないから大丈夫」という誤った認識から、咽頭への感染は見過ごされがちです。しかし、不特定多数の人と関係を持っている場合は、十分な注意が必要です。
淋病感染経路④男性器→肛門
淋病は粘膜の接触で感染するため、アナルセックスから肛門(直腸)へと感染する可能性もあります。
▼肛門(直腸)に感染したときの主な症状
・肛門のかゆみ
・肛門の不快感・痛み
・下痢
・血便
・排便時の痛み
肛門(直腸)への感染は、無症状の場合も多くあります。しかし、治療をせずに放置していると、HIVをはじめとするほかの性感染症に感染しやすくなるため注意が必要です。
淋病感染経路⑤手指・産道→目
淋病は目にも感染します。例えば、淋菌を含んだ分泌物が手指についた状態で目を擦る、といった行動が感染経路になります。また、淋病に感染している母親の産道から赤ちゃんに感染する「母子感染」も原因の一つです。
淋病が目に感染すると、淋病性結膜炎となってさまざまな症状があらわれます。
▼目に感染したときの主な症状
・クリーム状の濃い膿の出現
・まぶたの腫れ
・結膜の充血
淋病が目に感染した場合、重症化すると失明する危険性もあります。
淋病の原因として可能性がかなり低い感染経路
淋病は、以下のようなケースでは感染する可能性は非常に低いといわれています。
・軽いキス
・飲み物の飲みまわし
・お風呂やプール
上記の感染リスクは低いとされていますが、必ずしも安全ではない点に注意が必要です。また、粘膜が接触するディープキスや、感染者とのタオルの共有で感染するリスクがあることも忘れてはいけません。
淋病の感染原因となる行為
淋病の感染原因となる行為をまとめましょう。
<淋病の感染原因となる行為>
・膣性交
・オーラルセックス
・アナルセックス
・ディープキス
・手指を介する目への感染
・母子感染
淋病に感染すると尿道炎や子宮頚管炎などを発症しますが、場合によっては無症状のケースもあります。特に女性は自覚症状がでづらいため、感染後も治療をせずに放置してしまいがちです。
しかし、淋病を放置すると全身に症状が広がり、皮膚や関節にも症状があらわれる場合があります。また、男女ともに不妊の原因となる場合もあるため注意が必要です。
淋病は日本国内において、クラミジア感染症に次いで感染者の多い性病となっています。また、抗生物質に耐性のある淋菌が増えており、治療が難しくなっているのも大きな問題です。
淋病を防ぐためには、正しくコンドームをつけることが重要です。オーラルセックスであっても、コンドームを使用しましょう。万が一感染した場合には、早期発見・早期治療が大切になってきます。
パートナーが淋病の場合や、気になる症状があったときは、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。