マイコプラズマ・ウレアプラズマは非淋菌性の性感染症の1つです。日本で検査ができるようになったのは2012年からのため、まだまだ認知度は低く、聞いたことがないという方もいるかもしれません。

検査についても現状保険適用外としている医療機関が多いうえに、積極的に検査をする医療機関が少ないことも現状です。しかし、1回の性的接触で30~50%の割合で感染するといわれており、感染率はひじょうに高いといえます。

本記事では、マイコプラズマ・ウレアプラズマによる性感染症についてくわしく解説します。マイコプラズマ・ウレアプラズマについて知らないという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

マイコプラズマ・ウレアプラズマは性行為の種類によって変わる症状

マイコプラズマ・ウレアプラズマは性行為の種類によって症状が変わります。マイコプラズマ・ウレアプラズマは粘膜同士の接触によって感染するため、性行為でどの粘膜同士が接触したかによって症状が変わります。

例えば、オーラルセックスをした場合には、のどに症状が出ますし、コンドームなしで性行為をすれば尿道や膣に感染します。

なお、マイコプラズマ・ウレアプラズマは身体から離れると感染能力が低下することが分かっているため、タオルの共用や飲み物の回し飲みなどでは感染しません。

主なマイコプラズマ・ウレアプラズマの症状

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、1~5週間の潜伏期間を経て症状が出現します。ただし、感染しても無症状で経過するケースが多いことも特徴で、尿道や膣に感染した場合では50%以上、のどに感染した場合では90%の方が無症状で経過していました。

特に女性においては半数以上に自覚症状がないといわれています。

症状はクラミジアや淋菌に感染した場合と非常に似ていること、類似している症状がほかの病気にあることから、鑑別がとても難しいです。

そのため、マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状を知っておくことは非常に重要で、症状を知っておけば適切な対処ができるかもしれません。マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染し、症状が出た場合には次のような症状が出現します。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状①尿道炎

男性に起こる顕著な症状です。症状はクラミジアと似ていて、尿道から膿が出たり、排尿時に軽い痛みが出たりします。

膿は少量の場合が多く、白っぽくサラサラしたものから粘り気のあるものまでさまざまです。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染による尿道炎はなかなか治りにくいうえに、再発しやすいことも特徴です。

そのため、尿道炎になり、クラミジアを疑って治療をしていたがなかなか治らないため、検査をした結果、初めてマイコプラズマ・ウレアプラズマが原因だったとわかることもあります。

淋菌やクラミジアが関係しない尿道炎のうち、10~20%がマイコプラズマ・ウレアプラズマによる感染と考えられています。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状②排尿トラブル

尿道炎による痛みのほかに、排尿困難感や排尿時の違和感が出現することもあります。男女ともに見られる症状で、女性の場合には尿道が短いため、尿意切迫が起こるケースもあります。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状③おりもの増加

女性に見られる症状で、痛みやかゆみなどの症状はないけれどおりものの量がいきなり増えたことで感染に気付くという場合もあります。ただし、突発的に多量に増えるわけではないため、変化に気づけないケースもあります。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状④性行為痛

性行為時に痛みが出たり、下腹部に痛みが出るケースもあります。しかし、必ず出る症状ではなく、人によっては症状が見られないこともあります。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状⑤のどの痛みや違和感

オーラルセックスをして、のどにマイコプラズマ・ウレアプラズマが感染するとのどに痛みや違和感が出ます。早い方では、感染した翌日にのどに違和感を覚えることもあります。

のどがいがらっぽくなったり、咳が出やすくなったりするため、風邪と勘違いすることもあるでしょう。もしも、オーラルセックスをした後にこの症状が出た場合にはマイコプラズマ・ウレアプラズマの感染を視野に入れても良いかもしれません。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、性的接触によって感染します。粘膜同士の接触で感染することが特徴です。

オーラルセックスであれば口腔内に感染しますし、膣接触ならば膣内や尿道付近へ感染します。肛門で性的な接触をした場合には直腸に症状が出ます。

マイコプラズマ・ウレアプラズマそのものの感染能力は低いですが、粘膜は細菌が侵入しやすい部分であるため、菌が接触すればほかの部分よりも感染力が高まるといわれているのです。

特に、複数のパートナーがいる方、20代以下の若年層、喫煙者は感染しやすいといわれています。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状を放置してしまうことのリスク

マイコプラズマ・ウレアプラズマは症状が必ず出るものではないので、感染に気づけないケースもあります。感染に気付かずに放置していることで、女性においては卵巣・卵管にも感染を起こします。卵巣や卵管が感染によって炎症を起こすことで卵巣が癒着し、不妊の原因になるリスクが高まるのです。

女性だけでなく、男性もマイコプラズマ・ウレアプラズマの感染を放置することで、前立腺や精巣上体に炎症が進行します。この部分は精子の製造にかかわるため、炎症によって精子が正常に作られず、男性不妊となるリスクが高まるのです。

さらに、マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染した状態で妊娠、出産をすると生まれてくる子どもへも垂直感染をすることも特徴です。

その感染率は18~55%といわれています。胎児炎症反応症候群の原因菌とも考えられているため、生まれたばかりの赤ちゃんが肺炎を起こすリスクが高まるほか、妊娠早期での破水、早産、流産の原因になることも分かっています。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状のまとめ

マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染することで起こる症状は、尿道炎などほかの性感染症などでも起こる症状のため、鑑別が非常に難しいといわれています。とくに、女性では無症状のケースが多く、気づいたときには、炎症が卵巣付近で起こり、流産になる可能性も少なくありません。

ほかにも、不妊症や生まれてくる胎児に対してもリスクが高まるため、もしも感染していると思い当たる場合には適切な治療を受けることが望ましいです。


マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査はまだまだできる施設が少ないのも現状です。もしも、マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染している可能性がある、尿道炎がなかなか改善しない、ほかの性感染症検査は陰性なのに性感染症の症状があるという場合には、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染を疑い、パートナーとともに医療機関で検査を受けましょう。